大林組は、建設現場における熱中症対策として、施工済みのダクトを活用した仮設空調システム「涼人(りょうじん)プロジェクト」を導入したと発表した。
東京都中央区日本橋のオフィスビル新築工事で適用を開始したという。

同システムは、完成後に使用されるダクトに地上設置型の大型仮設空調機を接続し、建物内の各階に冷風を供給する仕組み。各階に設けた電動ダンパーで一定時間ごとに冷風供給エリアを切り替え、作業工程やエリアに応じて冷却を行うとしている。
今回の現場では4台の空調機を使用しているが、増設により大型施設への適用も可能とのことだ。

同社はこれまでも、ファン付き作業服や体温検知デバイスの着用義務化など独自の熱中症対策を進めてきたが、近年の猛暑を受けて更なる環境改善が必要と判断し、今回のプロジェクトに至ったという。
同社は、WBGT値(※)25以上または気温31度以上の現場において、連続作業を最大50分、その後10分間の休憩を義務付けているが、同システムにより作業エリアの室温を28度程度に保つことを目標としている。
その結果、作業者の身体負荷や熱中症リスクの軽減、通常時同様の休憩頻度での作業が可能だとしている。
今後は、発注者の理解を得ながら、基本設計段階から本プロジェクトの導入を提案し、順次適用現場を拡大していく方針だという。
(※)暑さ指数のこと。熱中症を予防することを目的として、人間の熱バランスに影響の大きい「気温」「湿度」「輻射熱」の3つを取り入れた温度の指標