大宝工業は、紙と天然由来成分を用いた射出成形技術「D-PIM™」の性能向上と用途開発を加速するため、静岡県伊豆の国市に設置した三島研究所を本格始動させたと発表した。

新拠点では、開発用射出成形機や各種試験機の導入を完了し、製紙業界出身の専門家や社内の技術者を招集するなど、実用化と用途拡大に向けた研究体制を強化しているという。
D-PIM™(DAIHO Pulp Injection Molding)は、パルプと植物性結合剤を用いて製品を射出成形する技術であり、生分解性・水溶性・燃焼時の有害物質ゼロ・高いリサイクル性といった特性を持つ。自動車・家電部品の射出成形を手がける同社は、環境負荷低減を目的に30年以上前からこの技術の研究を進めており、東京大学や日精樹脂工業との連携のもと、生産性向上にも取り組んできたという。

三島研究所は、紙産業の集積地である静岡県に立地し、素材のカスタマイズや業界別最適設計へのニーズに対応すべく、アドバンテッジパートナーズの支援を受けて設立された。今後は、脱炭素・資源循環・環境対応といった社会課題に対し、D-PIM™の技術によるイノベーションを提供していく方針としている。