キッズラインは、保育施設で働いた経験を持つ433名に保育施設で働くことの不安についてのアンケート調査を実施、結果を公表した。

保育施設で働くことの不安についてのアンケート調査

■保育施設勤務者62.6%が、仕事を続けることへの不安を感じている

今回の調査では、まず「保育施設で働くことに不安を感じたことがあるか」について、2年以内に保育施設で働いた経験を持つ433人(保育士・保育補助を含む)から回答を獲得。

このうち、62.6%が仕事を続けることに不安を感じたと回答する結果に。一方で、「あまり感じなかった」は15.9%、「全く感じなかった」は10.2%と、合わせて26.1%に留まった。

保育施設で働くことに不安を感じたことがあるか

■保育施設で働く不安理由は「職場の人手不足・業務負担の増加」が最多

保育施設での仕事継続に不安を感じた主な要因としては、「職場の人手不足・業務負担の増加」(70.1%)が最も多い結果に。

また「給与が低く、収入が増えない」(61.6%)「自分の心身の健康が保てない(過労・ストレス)」(56.8%)がそれぞれ5割以上を占め、収入面と精神面の両方で不安を抱えている状況が明らかになった。

加えて「保育施設の上長や経営者と考えが合わない」(37.6%)といった職場環境に関する課題も上位に挙がっている。

特徴的なのは「制度の改正に期待が持てない」(29.5%)や「少子化によって園児が減少していること」(19.2%)、「保育園の閉園・リストラ・契約終了の可能性」(5.9%)といった保育業界を取り巻く変化に関する不安も挙がっている点。

保育施設での仕事継続に不安を感じた主な要因

この結果に同社は、保育施設勤務者の不安は労働環境や待遇の問題が主軸でありつつも、少子化などによる保育業界全体の先行き不透明感も一定程度影響していることが示されているとしている。

■41.9%が「閉園」「クラス数の削減」「園児の減少」を実際に体験

保育施設勤務経験者に自身の職場で「閉園」「クラス数の削減」「園児の減少(定員割れ)」を経験したことがあるかを質問したところ、体験者は合わせて41.9%に上ることが判明。

自身の職場で「閉園」「クラス数の削減」「園児の減少(定員割れ)」を経験したことがあるか

特に、「園児の減少(定員割れ)を経験したことがある」と回答した人は34.4%と最も多く、急激な少子化の影響が既に保育の現場に及び始めている様子がうかがえる。

また、自身の職場以外でこれらの状況を聞いたことがあると回答した保育施設勤務者は71.4%にのぼり、コロナ禍以降急激に進む少子化により、保育施設勤務者の雇用やキャリア形成にも影響が出始めていると同社は推察。

自身の職場以外でこれらの状況を聞いたことがあるか

■保育施設の規模縮小の理由、勤務経験者の43.6%が「少子化」と認識

保育施設の「閉園」「クラス数の削減」「園児の減少(定員割れ)」の理由を知っているかと質問したところ、「少子化に伴って子どもの数が減ったから」と回答した人が43.6%と最多に。

また、「必要な保育士の人数が集まらなかった」(21.7%)という理由も2番目に挙げられており、人材不足が運営に影響を与えている現状も浮き彫りになった。

少子化の進行とともに、保育施設の維持・運営が厳しくなりつつあることがわかる一方で、「理由はわからない」と回答した人も35.6%おり、閉園やクラス削減の背景が十分に共有されていないケースもあることがうかがえる結果となった。

育施設の「閉園」「クラス数の削減」「園児の減少(定員割れ)」の理由を知っているか

<参考>
キッズライン『保育施設で働くことの不安についてのアンケート調査