日本電信電話(NTT)は2019年5月30日、座ったままの状態であたかも歩いたような感覚を作り出す技術を開発したと発表した。
足の裏に適切な振動刺激を与えることで歩行状態を擬似的に再現
足底は歩行時に地面との相互作用を行うインタフェースであり、足底からの情報から地面の状態や材質を知覚できることが知られている。また、新生児には、抱えられた状態で足の裏が平坦な地面に触れると、歩行するかのように両足を交互に踏み出す反射を起こす自立歩行反射が起こることが知られている。
このような点から新技術では足の裏に着目し、適切な振動刺激を与えることで歩行運動を想起させ、歩行状態を擬似的に再現することを試みた。
具体的には、歩行時に実際に生じた振動を歩行音として記録し、カットオフ周波数120Hzローパスフィルタ処理や増幅処理を経てボイスコイルモータ(振動子)で振動刺激として足裏に与えた。この歩行音の波形を正弦波に変えたり、歩行音の時間間隔を無作為化したりすると歩行感覚が生じないことも確認した。
今回実現した技術について、今後、4D映画館やVRアミューズメント施設などでのVR空間内の歩行体験を高めるための要素技術として、この技術の応用の検討を進める方針だ。
さらに、歩く動作だけでなく、走る、スキップするなど多様な歩行感覚の表現を目指すとともに、体験者の足踏みなどの運動入力と連携して歩行感覚を生み出すための方法論の確立を目指す。
<参照元>
『NTT、座ったままの状態であたかも歩いたような感覚を作り出す技術を開発-「身体近傍空間」を前方に拡張 』
NTT