大林組は、解体工事で発生する鉄スクラップを新築工事で再利用する水平リサイクルフローの構築に着手したと発表した。
同取り組みは、建材商社、金属リサイクル事業者、電炉鉄鋼メーカーと連携し、建設現場から発生する鉄スクラップを電炉鋼材として再生し、新たな建設現場で利用する流れを確立するもの。
初めての適用事例として、東京都港区北青山三丁目の解体現場で発生する約1,000tの鉄スクラップを電炉鋼材として再生し、大林組が施工する新築工事で再利用するという。このプロセスにより、新材(高炉鋼材)の使用時に比べ製造時のCO2排出量を約60%削減できるとしている。
鉄スクラップの水平リサイクルフローでは、従来の経済合理性優先の輸送プロセスを見直し、輸送時のCO2排出量削減を重視したルートと事業者選定を最適化している。また、トレーサビリティやデジタル製品パスポートのニーズが高まる中で、従来把握が難しかった鋼材の来歴情報を可視化し、水平リサイクルフローの一部として情報提供を可能にしたとのことだ。
2024年度には首都圏および関西圏の建設現場にこのリサイクルフローを適用し、地域性を考慮した輸送フロー選定のノウハウを蓄積することで、2025年度には全国の事業者と連携し、対象地域を拡大する計画だとしている。大林組は、建材のリサイクルやリユースを進め、脱炭素社会および循環型経済の実現に向けて取り組みを強化するとのことだ。