NEDOと大崎クールジェンは、「CO2分離・回収型IGCC(※)におけるバイオマス混合ガス化技術開発」における実証試験を開始した。これは、CO2分離・回収設備を備えた石炭ガス化複合発電(IGCC)にバイオマス燃料を混合する世界初の試みであり、CO2貯留・利用技術との組み合わせによりカーボンニュートラルを目指すとのことだ。

同事業は、バイオマス混合ガス化技術の社会実装を目的としており、バイオマス燃料を大規模に導入した際のプラント全体への影響を確認し、CO2分離・回収型酸素吹IGCCにおけるバイオマス燃料の適応可能性を検証するという。

NEDOと大崎クールジェンは、これまでに高効率石炭火力発電技術に加え、CO2分離・回収技術を組み合わせた実証試験を実施し、CO2回収率90%以上を達成している。2050年カーボンニュートラル達成に向け、さらなるCO2排出量削減が求められており、2023年度から新たな取り組みとして今回の事業を進めている。

実証試験プラント全景(広島県豊田郡大崎上島町、中国電力 大崎発電所内)

バイオマス燃料はカーボンニュートラルな燃料であり、バイオマス燃料混合率10%を超える技術を確立することで、CO2回収率90%以上の技術とCO2貯留・利用技術の組み合わせによるカーボンニュートラルの実現が可能となる。

NEDOと大崎クールジェンは、実証試験を通じて得られた成果をもとに、バイオマス混合ガス化技術の社会実装を進めていくという。また、実証試験で分離・回収したCO2の一部を隣接するカーボンリサイクル実証研究拠点に供給し、カーボンリサイクル技術の開発にも貢献するとしている。

■同事業の概要

CO2分離・回収型酸素吹IGCCへのバイオマス燃料大規模導入実証:
CO2分離・回収型酸素吹IGCCにバイオマス燃料を大規模に導入した際のシステム全体への影響について評価し、「CO2分離・回収型酸素吹IGCCにおけるバイオマス混合ガス化の最適システム検討」につなげる。

CO2分離・回収型酸素吹IGCCにおけるバイオマス混合ガス化の最適システム検討:
要素研究で得られた結果を反映して、CO2分離・回収型酸素吹IGCCにおいて、バイオマス混合比率50%のバイオマス混合ガス化を達成するための商用機を見据えた最適なシステムの見通しを得る。

IGCCにおけるバイオマス燃料の適応可能性評価:
CO2分離・回収型酸素吹IGCCにおけるバイオマス燃料の導入について、バイオマス燃料の適応可能性について評価する。