ラーニングエージェンシーは、2019年度入社の新入社員を対象としたキャリアに対する意識調査(※)を実施。その結果を公開した。主な調査結果は以下のとおりとなる。

  • 今の会社で働き続けたいと考える新入社員は4年連続で減少
  • 新入社員が取り組みたいのは「楽しくてやりがいのある仕事」と「自身の成長につながる仕事」
  • 仕事を通して成し遂げたいこと、「自己成長」が調査開始以来はじめてトップに
  • 「キャリア志向なし、楽しく働きたい」「今後決めていきたい」と考える新入社員が増加傾向
  • キャリアアップにつながるのは「優しく指導してくれる上司」。「プライベートのことも相談に乗ってくれる上司」も過去最多に。
  • 5年連続で「定時に帰りたい」新入社員が増加。「休日出勤はすべきではない」との声も4年連続で増加。

なお同社では2014年度から新入社員を対象とした調査を毎年実施しており、今回はその5回目となる。

今の会社で働き続けたいと考える新入社員は4年連続で減少

図1 今の会社で働き続けたいですか? (単一回答)

現在の就業先での勤続意向を聞いたところ、「できれば今の会社で働き続けたい」(50.4%)との回答は4年連続で減少。ついに全体の半数ほどの人数となった。一方、「そのうち転職したい」が前年度より1.7ポイント増加して18.4%に、「フリーランスとして独立したい」が1.3ポイント増加して4.2%となった。

同社は、フリーランスの台頭などの働き方多様化、就活生に有利な売り手市場の継続、第二新卒採用増加といった影響により、新入社員の就社意識がここ数年で大きく低下していると指摘。

今の新入社員にはキャリアの選択肢が豊富に用意されていることから、勤めている会社で働くメリットを提示することが早期での離職を防止するのに必要であるとしている。

新入社員が取り組みたいのは「楽しくてやりがいのある仕事」と「自身の成長につながる仕事」

図2 今後どのような仕事をしてきたいですか?

どのような仕事に取り組んでみたいか聞いたところ、「楽しくてやりがいのある仕事」(67.0%)や「自身の成長につながる仕事」(49.8%)が突出して多い結果に。

このことから同社では、今年度の新入社員が仕事をしていくうえで「楽しさ」「自己成長」を重視する傾向が明らかになったと指摘。

一方ですべての仕事が楽しくやりがいのあるものと限らないことから、日々の何気ない業務にも目的やゴールがあり、そのなかで成長できることを管理職が丁寧に説明することが必要であるとしている。

仕事を通して成し遂げたいこと、「自己成長」が調査開始以来はじめてトップに

図3 仕事を通して、何を成し遂げたいですか? (複数回答)

仕事で何を成し遂げたいか聞いたところ、「自分を成長させたい」(58.3%)との回答がトップに。調査開始してから「安定した生活を送りたい」が1位、「自分を成長させたい」が2位であったが、今年度は逆転した。

「キャリア志向なし、楽しく働きたい」「今後決めていきたい」と考える新入社員が増加傾向

図4 将来会社でどのような役割を担いたいですか? (単一回答)

会社で将来どんな役割を担いたいか聞いたところ、前年度同様に「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」(31.7%)との回答が「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」(24.0%)を上回る結果に。

また、ここ数年で「キャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」(22.3%)や「まだ(キャリアについて)はっきりしていない」(21.3%)をえらぶ新入社員が増加傾向にある。

同社では、約25%の新入社員が仕事を通じて「自分の成長」を成し遂げたいと考えていることが明らかになったものの、一方で会社員として将来どのようなキャリアを目指すか具体的に定めていない新入社員も増加している点を「興味深い結果」と指摘している。

キャリアアップにつながるのは「優しく指導してくれる上司」。「プライベートのことも相談に乗ってくれる上司」も過去最多に。

図5 自分のキャリアアップにつながる理想の上司はどんな上司ですか? (複数回答)

キャリアアップのためになるのはどんな上司か聞いたところ、「優しく指導する上司」(42.1%)がトップとなった。優しく指導をする上司」と「プライベートのことも相談に乗ってくれる上司」(40.5%)に関しては、調査開始以来最多となっている。

同社では、その要因の1つとして、前述した「将来のキャリアを具体的に描いていない新入社員」が増加していることをあげている。そのうえで、売り手市場の就職活動により、自己分析・業界研究を十分にしないまま入社している新入社員がいることが影響しているかもしれないとの考えを示した。

5年連続で「定時に帰りたい」新入社員が増加。「休日出勤はすべきではない」との声も4年連続で増加。

図6 今後3年間の会社での労働時間について、あなたの考えに近いものを選んでください(単一回答)

今後3年間の働き方について質問したところ、「定時に帰りたい」(42.3%)と回答する新入社員が調査開始以来5年連続で増加。また2年連続で4割以上が「定時に帰りたい」と回答する結果に。働き方改革の機運が高まっているため、同社ではこの傾向が今後さらに強くなる可能性があると指摘している。

図7 必要であれば、休日でも出社すべきだと思いますか? (単一回答)

一方、必要があれば休日でも出社すべきかという問いに関しては、「あまり前向きではないが、必要ならば出社すべきだと思う」(52.9%)が例年通り一番多い結果に。一方、2番目に多かった「休日に出社すべきではないと思う」(22.9%)が唯一増加傾向となった。

同社は、仕事とプライベートのオン・オフを重視する新入社員が増えており、企業ではこの意識変化をしっかり理解する必要があるとしている。

調査結果にもとづいた「新入社員を育てるうえでのポイント」

今回の調査結果から、同社では以下のような新入社員の傾向が明らかになったと指摘。

  • 就社意識が希薄している
  • 新入社員が仕事にやりがいや楽しさ、自己成長を求めている
  • 専門家志望が多い傾向がつづくなか、キャリアの方向性を定めていない新入社員が増加している
  • キャリアアップのため、優しく指導する上司を求めている
  • 定時での退社など、自分の時間を大切にしていること

そのうえで、同社では以前よりキャリアの選択肢が広がっている新入社員が、希望した環境でない場合に早期で離職する可能性があると指摘。新入社員に長く勤めてもらい活躍を促すには、以下の3点が重要であると指摘している。

  1. 日々の業務に対する目的やゴールのイメージを管理職から丁寧に説明する
  2. 会社でのキャリアに対して継続的に考える機会を新入社員に与える
  3. ワークライフバランスを保てる職場づくりを推進する


※調査概要
・調査対象者:同社が提供する新入社員研修の受講者(研修は東京・横浜・名古屋・大阪で開催)
・調査時期:2019年4月2日~2019年4月11日
・調査方法:自記式のアンケート調査
・サンプル数:5,673名
・属性:
 (1)性別
  ①男性:55.1%(3,125名)
  ②女性:43.9%(2,489名)
  ③不明:1.0%(59名)
 (2)所属企業の従業員数規模
  ①50名以下:9.5%(539名)
  ②51名~100名:21.9%(1,243名)
  ③101名~300名:39.1%(2,217名)
  ④301名以上:21.8%(1,234名)
  ⑤分からない・不明:7.8%(440名)

<参照元>
【速報】新入社員5,673名の働き方とキャリアの意識調査を発表!