INDEX
Sansanは、請求書関連業務に携わる1,000名のビジネスパーソン(経理部門:700名、経理以外の部門:300名)を対象に「インボイス制度対応の実態調査」を実施し、結果を公表した。
■インボイス制度開始から3カ月。未だ3分の1の企業が制度対応に課題を抱えている
請求書関連業務に携わる1,000名に対して、2024年1月時点でのインボイス制度への対応状況を聞いたところ、「問題なく対応できている」と答えた人は66.4%、「課題が発生している」と答えた人は33.6%となった。
制度開始から3カ月が経過したものの、いまだ3分の1以上の担当者が対応に課題を抱えていることが明らかに。
■対応に課題を抱える企業では、経理は一人あたり月8.5時間、非経理は一人あたり月9.0時間の業務増
インボイス制度対応で課題が発生していると回答した人に、制度対応に伴う業務増加時間を聞いたところ、経理部門では1人あたり月平均8.5時間となった。
また、経理以外の部門では1人あたり月平均9.0時間と、経理部門をやや上回る結果に。
インボイス制度開始から3カ月が経過したものの、請求書業務に不慣れな非経理部門での混乱が続いていることが判明した。
また、制度対応で作業時間が増えた項目を経理担当者に聞いたところ、第1位は「適格請求書の要件を満たすかどうかの確認」、第2位は「不備があった場合の修正対応」となった。
■順調に対応できている企業では「従業員への説明・周知」「経理業務のデジタル化」に取り組んでいる
一方、インボイス制度に問題なく対応できていると回答した人に、円滑に対応するために取り組んだことを聞いたところ、最も多かったのは「従業員へのインボイス制度に関する説明・周知」で36,3%、続いて、外部サービスの導入などによる「経理業務のデジタル化」が35.3%となった。
■順調に対応できている大企業が取り組んだことの最多は「経理業務のデジタル化」
各社の取り組みは企業規模によって異なり、従業員数1,001名以上の企業は「経理業務のデジタル化」、従業員数101名~1000名の企業は「従業員への説明・周知」、従業員数100名以下は「顧問税理士など外部からのアドバイスをもらう」が最多に。
従業員が多い企業では、システムを導入するなどして業務のデジタル化を図っている一方、従業員100名以下の企業では経理業務を顧問税理士に委託しているケースも多いことが伺える。
また、円滑に対応するための具体的な取り組みは以下の通り。
・「社内勉強会を開催、Q&Aサイトを設置(IT・情報通信)」
・「二重チェックの体制を作り判定の強化を図った(公共機関・非営利団体)」
・「社員への周知徹底を行い、間違えているものは申請者自身に修正対応をしてもらう事で意識を高めてもらっている(製造・メーカー)」
各社で様々な工夫を行っていることがわかったが、「受け取った請求書を自動判定するサービスを導入して確認作業を自動化した(運輸・物流)」など、外部サービスを導入した人も多いことが明かとなった。
■経理業務をデジタル化したメリットは「請求書を探しやすくなり生産性向上」「紙のコストを削減できた」
インボイス制度を機に経理業務をデジタル化した企業に、デジタル化して最もメリットを感じたことを聞いたところ、「請求書の検索や管理がしやすくなり生産性が向上した」と「紙の用紙代や印刷代などのコストが減った」と回答した人がともに14.1%で最多に。
その他、「郵送や開封などの紙の作業が減り業務効率化につながった」が13.0%、「人的ミスが減り正確性が向上した」が12.3%、「テレワークなど働き方が柔軟になった」が12.0%となった。
メリットを感じた具体的なエピソードとしては、「受け取った請求書を保存するための製本作業が減った(IT・情報通信)」や「紙が減ったことにより打ち合わせスペースが広くなった(卸・商社)」など、ペーパーレス化により時間やスペースを有効活用できるようになったという声も多数。
その他、「請求書を紛失する心配がない(旅行・宿泊)」や「郵送で届いていた書類がメールで早く届くので、請求処理の締切日まで余裕ができるようになった(建設・不動産)」といった声も上がった。
【調査概要】
調査名:インボイス制度対応の実態調査
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査地域:全国
調査対象:請求書を取り扱う業務を担当するビジネスパーソン1,000名
(経理部門700名、経理以外の部門300名)
調査期間:2024年1月17日~2024年1月18日
調査企画:Sansan
<参考>Sansan『インボイス制度対応の実態調査』