資生堂は、顔の「たるみ」に関する自己認識と実際の状態の間にギャップがあることを解明したと発表した。

たるみが顕著に表れる頬、目、フェースラインの3部位に関して調査を行った結果、特に頬部におけるギャップは8.1歳にも及んだという。また、自身のたるみ状態を正確に把握することは、たるみケアへの意欲を高めることも明らかに。

資生堂は、この研究成果をもとに、本人の状態に合ったたるみケアと、それを適切なタイミングでサポートするソリューションの開発を進めていくとしている。

今回資生堂は、同社が開発したたるみの判定基準写真を用いて、自身の写真を見ずに判定基準の写真を見て判定した自分のたるみ度合いをたるみの「自己認識」、別途撮影された自身の写真と判定基準の写真を同時に見て判定した自分のたるみ度合いをたるみの「実際の状態」とし、その「ギャップ」を計測。

たるみの自己認識と実際の状態のギャップの計測方法(頬部での測定例)

対象者は、写真を用いた6段階のたるみ判定基準を見ながら自身のたるみ程度を判定。

自身の写真を見ずに判定した結果をたるみの「自己認識」、自身の写真を見ながら判定した結果をたるみの「実際の状態」とし、例えば前者が「1」、後者が「4」の場合には、たるみの自己認識と実際の状態との「ギャップ」は「3」となる。

この方法を使いて、30~40代の日本人女性36名を対象とし、たるみが顕著に起きる頬、目、フェースラインに関して測定を行った結果、たるみの自己認識は、3部位とも本人の自己認識の方が、実際の状態よりも有意に低く、たるみが少ない状態と認識していることが明らかになった。

たるみの自己認識と実際の状態のギャップ

またこの差を、たるみ度合いと年齢との関係を表す数式にあてはめ年齢に換算すると、頬部では8.1歳の差となったという。

次に、このたるみ認識のギャップが生まれる原因を検討。

様々な角度から対象者の顔の写真を撮影して比較したところ、正面から撮影した顔では、たるみを検出することは困難で、斜め方向から撮影した顔では、たるみが明確に認識できることが明らかに。

日常生活では、鏡で自分の顔を正面から見る機会は多いものの、斜め方向から見ることは少なく、たるみの認識が困難な正面の顔を基に、自身のたるみ程度を認識していると考えられるとのことだ。

顔を見る角度によるたるみの見え方の違い

さらに、自分のたるみを正確に認識することが、本人にどのような影響があるのかを検討。

斜めからの写真を見る前後で、たるみ改善への意欲を段階評価法で比較したところ、写真を見た後ではたるみ改善意欲が高くなった。この結果から、たるみの認識のギャップにより、本人が適切と思えるたるみケアが実施できていない可能性が示されたとしている。

斜めからの写真を見ることで、たるみ改善意欲に変化があった人の割合