KDDIは、2022年10月に鹿児島県屋久島町にある白谷雲水峡のau通信のエリア化対策を完了したと発表した。
これにより、国内通信事業者で初めて、白谷雲水峡の駐車場から登山道の一部で携帯電話が利用可能に。auの携帯電話で撮影した白谷雲水峡の幻想的な景色を家族や友人にリアルタイムに共有できるほか、安心安全に観光を楽しめるとしている。
白谷雲水峡は世界遺産の島「屋久島」の原生林の自然を容易に観賞できる場所として、1974年に屋久島自然休養林に指定されたという。国内有数の苔スポットで、石や木など、すべてが緑色の苔で覆われた幻想的な世界が広がり、毎年約10万人の観光客が訪れているとのことだ。
これまで、ユーザーから白谷雲水峡のエリア化の要望を継続的によせられていたが、屋久島国立公園内であるため新たな工作物の設置に制限があり対応できずにいたという。
また、電気や通信回線がないため、携帯電話基地局の設置場所の確保が難航。さらに、地形や樹木などの影響が大きく、ユーザーが満足するエリアを設計することが困難となっていたとのことだ。
今回、屋久島町とともに以下の取り組みを実施し、幻想的な森の世界観を損なうことなくユーザーが快適に携帯電話を利用できる環境を実現したという。
<取り組み内容>
- 新規工作物の設置に制限があるため、既に設置済みの鹿児島県の建物に基地局を設置
- 電気は、発電機や太陽光発電などではなく、白谷雲水峡にある屋久島町の小型水力発電機を利用
- 通常の約2mのアンテナではなく、30cmの小型アンテナを導入し、景観に配慮
- エリアの設計において、シミュレーションに加え実際に機材を設置して電波実験を実施
KDDIは、2014年から全国観光地の携帯電話のエリア化対策を実施している。屋久島ではすでに、宮之浦岳山頂、縄文杉、荒川登山口、ヤクスギランドの対策を実施しているという。
2020年には屋久島町の要望により、安房川第一発電所の対策も行い、2022年9月には富山県にある黒部峡谷鉄道の全区間でエリア化対策が完了。
今後もサービスエリア拡大や品質向上ならびにユーザーがより利用しやすい環境の整備を進めていくとしている。