メッセンジャーRNA(mRNA)治療薬とワクチンのパイオニアであるバイオテクノロジー企業のモデルナは、第2/3相臨床試験において、mRNA-1273の追加接種と比較して、モデルナのオミクロン株に対応する追加接種用2価ワクチン(mRNA-1273.214およびmRNA-1273.222)のいずれも、優れた抗体応答を誘導したと発表した。

また、両2価ワクチンは共に、起源株に対する免疫原性の非劣性基準を満たしたとのことだ。

第2/3相試験では、mRNA-1273.222(50µg)の追加接種は、ワクチン接種歴および追加接種歴のある被験者(19~89歳)511例において、mRNA-1273(50µg)の追加接種と比較して、オミクロン株BA.4-BA.5に対する優れた中和抗体応答を誘導したという。

mRNA-1273.222およびmRNA-1273は、それぞれ前回のワクチン接種から約9.5ヵ月後および4.5ヵ月後に接種されている。

追加接種前のBA.4-BA.5抗体価は、mRNA-1273.222群とmRNA-1273群間で同程度であった。

mRNA-1273に対するmRNA-1273.222のオミクロン株BA.4-BA.5の幾何平均抗体価(GMT)比は、追加接種前にSARS-CoV-2感染群と非感染群で、それぞれ5.11(95%信頼区間:4.10~6.36)および6.29(95%信頼区間:5.27~7.51)。

全ての被験者において、オミクロン株BA.4-BA.5に対するGMTは4289(95%信頼区間:3789.0~4855.9)であり、追加接種前の値から15.1倍増加(95%信頼区間:13.3~17.1)していたという。

感染歴のない被験者のGMTは2325(95%信頼区間:1321.2~2812.7)であり、26.4倍の増加(95%信頼区間:22.0~31.9)を示し、感染歴のある被験者のGMTは6965(95%信頼区間:6043.7~8025.4)であり、追加接種前の値から9.8倍の増加(95%信頼区間:8.4~11.4)を示したとのことだ。

また、重要な点として65歳以上の被験者と18~65歳の被験者で結果は一貫していたという。

研究用のアッセイ方法で約40例を探索的解析したところ、BA.4-BA.5に対する値と比較して抗体価が約5分の1低下したものの、どちらの2価ワクチンでもBQ.1.1に対して強固な中和活性を示したとしている。

New England Journal of Medicine(NEJM)で論文発表されたように、mRNA-1273.214(50µg)の追加接種は、mRNA-1273の追加接種と比較して、オミクロン株BA.1およびオミクロン株BA.4-BA.5に対する優れた中和抗体応答を誘導し、その優位性は3か月以上持続。

なお両群とも、被験者は前回のワクチン接種から約4.5ヵ月後に追加接種を受けている。

mRNA-1273.222およびmRNA-1273.214の副反応の発生頻度は、mRNA-1273の2回目または3回目の接種時と同程度またはそれよりも低い結果となった。

さらに、約1か月および3か月の追跡調査後、それぞれ新たな安全性の懸念は特定されなかったという。

これらの安全性および免疫原性データは、査読済み論文として提出され、世界中の規制当局と共有され、これらの安全性データは、v-safeデータベース1の211,000例以上の解析で米国CDCおよびFDAが最近公表したデータと一貫していたとのことだ。