Institution for a Global Society(以下、IGS)は、生徒の潜在的な文系・理系傾向などのバイアスを明らかにする診断ツール「Ai GROW(アイ・グロー)傾向チェックテスト」のデータをもとに、中学3年生~高校3年生(計3,325名)の文理傾向のバイアスの変化を男女別に分析し、結果を公表した。

同調査の結果、中学3年生の時点では男女ともに理系傾向であったにも関わらず、高校1~2年生にかけて、女子生徒は男子生徒よりも文系のバイアスが急激に強まっていることがわかったとのことだ。

文理傾向バイアスの男女別推移

IGSは、同分析結果を男女別の数学点数の推移やステレオタイプに関する先行研究を踏まえて考察。

小学4年生や中学2年生時点では数学点数に男女差はないが、高校3年生になると点数に男女差が出ている。このことから、文理選択を迫られる高校1年生の時期から2年生の時期に、「女子は文系」というバイアスが、環境(先生や保護者からの声掛けなど)等の要因で強まり、実際に高校3年生で点数に影響が出ている可能性があるとしている。

バイアスは無意識であり、本人や周囲も自覚することが難しいため、まずは文理傾向バイアスを定期的に可視化することが重要だという。

さらに、数学と身近な接点やつながりを実感できるようにするなど、将来やりたいことと直結するイメージを抱いてもらうような環境づくりや声掛けが必要だといえるとのことだ。

■「文理傾向バイアス」とは

自分は意識していないが、脳が潜在的に「自分は文系」「自分は理系」と捉えている、認知バイアス。

数学の点数が下がることで文系バイアスが強まる可能性もある一方で、同リリースの分析結果にもある通り、文系バイアスが強くなると数学の点数が下がるなどの影響が出る可能性もあるとしている。

「Ai GROW 傾向チェックテスト」は、潜在意識が文系・理系のどちらにどの程度強く結びついているかなどを3分程度で測定し、「文理傾向バイアス」を可視化。

認知バイアスを測定するための手法「IAT(Implicit-Association Test)」を使うことで、自身が意識していない潜在的な態度を可視化することがきるという。

IATは、国際機関で人種差別傾向を判別するためにも利用されており、脳科学に準拠した測定手法。IGSが取得した特許技術「IATスマホ診断」によって、スマートフォンなどのICT端末でIATを実施し、ゲーム感覚で認知バイアスを測定することができるとのことだ。

「Ai GROW 傾向チェックテスト」

【調査概要】
目的:文系・理系のバイアス傾向が、男女別にどのように変化するかを調べるため
学年・人数:計3,325名
中学3年生55名(男子45名、女子10名)、高校1年生1,210名(男子667名、女子543名)、高校2年生1027名(男子675名、女子352名)、高校3年生1,033名(男子687名、女子346名)
学校:計8校(県立高等学校:2校、私立高等学校:3校、私立中高一貫校:3校)
調査方法:「Ai GROW」の文理傾向バイアス診断機能で、生徒の文系・理系に関するバイアスを測定
測定期間:2021年10月~2022年8月
留意事項:様々な学校のデータを分析しているため、あくまで同分析は可能性の示唆としている。

<参考>
IGS株式会社『文理傾向のバイアスの変化