ソフトバンクは、アラブ首長国連邦で開催中のドバイ国際博覧会(以下、ドバイ万博)において、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と連携し、ソフトバンクが独自に開発したコンテンツ流通システムで、2025年日本国際博覧会のPRイベント映像を、日本国内の報道機関へ即時公開・提供する実証実験に成功したと発表した。

実証実験におけるコンテンツ提供フロー

新型コロナウイルス感染症の影響により、日本国内の報道機関がドバイ万博へ派遣されることは見送られていたが、放送局や通信社、ウェブメディアなどの報道機関が同コンテンツ流通システムを活用することで、現地で撮影された映像コンテンツおよびメタデータや撮影内容を示すタグ情報を即時に把握することが可能になったという。

ニュースや特集などでの迅速な映像コンテンツ使用が実現したとし、2021年12月9日から17日までの9日間で、446本・計8時間以上の映像コンテンツを提供。そのうち34本の映像コンテンツが日本国内の報道機関のニュースとして使用されたとのことだ。

海外から大容量の映像コンテンツを迅速かつ確実に配信する上で、高速かつ安定した通信環境が不可欠とし、従来は大規模な伝送設備や中継システムの設置など、膨大な投資が必要だったという。

ソフトバンクのコンテンツ流通システムは、他社提供のデータ転送ソリューションをそのまま活用することも可能なため、容易かつ安価な構築を実現。

撮影者は、撮影した映像コンテンツをコンテンツ流通システムにアップロードし、場所や日時などのメタ情報に加え、撮影された対象物、シーン、そして取材相手などの撮影内容を簡単操作のみでタグとして登録が可能としている。

撮影者は映像素材とメタデータをアップロードした後、すぐに新たな撮影を開始することができ、ドバイ万博のような様々な催しが同時多発的に行われる大規模イベントでも、貴重な映像を撮り逃すことなく短時間で多くの映像コンテンツを送り出し続けることができるという。

また、システムにアクセス可能な複数のユーザーに対しても映像コンテンツを同時に提供することが可能となり、コンテンツ提供にかかる時間を大幅に削減することができるとのことだ。

映像編集者は、映像に付与されたメタデータやタグによって、全てのコンテンツのプレビューを行うことなく内容を把握することができ、フィルタリングやキーワード検索機能を利用することで、大量の映像コンテンツの中から使用したい映像を素早く絞り込むことができ、ニュースなど即時性が必要な用途での利用に適しているという。

同実証実験は従来の手法と比較すると、コンテンツの提供から報道までの時間を、およそ半分程度に削減することができたとのことだ。

【左上】現地で撮影する様子【右上】現地からコンテンツをアップロードする様子【左下】
数ギガバイトのコンテンツが複数アップロードされている画面、【右下】コンテンツ流通システムのキャプチャー画像

ソフトバンクは、今回の実証実験で得た知見を生かして、今後も様々なテクノロジーを活用し、場所や時間に縛られない新たなコンテンツ流通を実現するための取り組みを推進していくとしている。