バーバリーは、地球規模の環境保護活動の支援を目的とした生物多様性戦略を発表した。
同戦略を通じ、パリ協定で示された気温上昇1.5℃を目標とする地球温暖化対策への貢献、そして自然環境の保護、回復、再生に向けての取り組みを推進するとのことだ。
この生物多様性戦略では、先立って発表された2040年までにクライメート・ポジティブを実現するという指標に基づき、同社のバリューチェーンのみならず事業活動の枠を超えて最も必要とされる分野において、自然に基づくアプローチを適用することで、ラグジュアリーブランドとしての取り組みの範囲をさらに拡大するという。
生物多様性戦略における3つの主要分野
自然環境の保護、回復:
バーバリー再生基金によって支援されるプロジェクトを通じて、バーバリーのバリューチェーン内外の自然環境の保護、回復を目指す。
農場コミュニティへの支援の拡充:
バーバリーが原材料を調達している農場コミュニティへの支援の拡充や、既存の農場レベルの認証や研修を強化。
再生可能なサプライチェーンの構築:
放牧や農業において再生可能で包括的な土地管理システムを適用。
これらの戦略は、バーバリーの長年にわたるプログラムに基づき、「ARRRT」の枠組みに沿って4つの主要分野をカバーしているとのことだ。「ARRRT」の内容は以下の通り。
●Avoid:
生物多様性や環境保全への悪影響を防ぐため、広範囲に及ぶサプライチェーンにおいて継続的な取り組みを行う。
●Reduce:
2025年までに主要な素材を追跡可能、認証済み、もしくは再利用可能なものとし、バーバリーが生物多様性にもたらす影響を削減する。
●Restore&Regenerate:
セイボリー研究所の「Land to Market」プログラムや、Sustainable Fibre Alliance社などの主要パートナーと協力関係を結び、バーバリーのバリューチェーンにおける生態系の回復を目指す。
●Transform:
ファッション協定や、国連のファッション業界気候行動憲章への積極的な参加を通じて、バーバリーのバリューチェーンを超えて、変化を促す解決策を見出し、脆弱な生態系を保護するための活動を推進する。
今年、バーバリーはThe Biodiversity Consultancy社と共同で生物多様性の基礎評価を実施し、生態系に最も影響が大きいとされる要因を特定したという。
その結果、レザー、カシミア、ウールが生物多様性に最も大きな影響を与えていること、また、それらがバーバリーのカーボンフットプリントにおいても高い割合を占めていることが明らかになったとしている。
これに基づき、バーバリーはThe Biodiversity Consultancy社と共同で策定した「Nature Based Solution Principles and Guidelines(自然に基づく解決策の原則とガイドライン)」を、バーバリー再生基金を通して支援するプロジェクトに適用し、自然生態系の保護、回復、再生を目指すとのことだ。
バリューチェーンの枠を超え、バーバリーはラグジュアリーブランドとして初めてLEAF連合に加盟し、熱帯林の伐採の削減に積極的な取り組みを行うことを表明した国々に、その結果に応じて資本提供を行うイニシアチブに出資しているという。
このイニシアチブは世界最大の官民一体の取り組みとなることが期待され、またバーバリーはセイボリー研究所の「Land to Market」プログラムを通じて、レザーのサプライチェーンにおける放牧地の再生と、そこに住む人々の生活基準の向上にも取り組んでいるとしている。
2つのプログラムは、世界的な再生・保全活動において重要な役割を果たすことになるとのことだ。