国際オリンピック委員会(IOC)のワールドワイドパートナーであるアリババグループは、東京2020オリンピック競技大会(以下、東京2020大会)の会場スタッフが、気温が高い現場で働く中で熱中症になるリスクを軽減する新たなクラウドベースのソリューションを発表した。

アリババ、東京2020大会会場スタッフの熱中症対策を支援

アリババは、東京2020大会期間中にアリババクラウドが開発したデバイスとソリューションを提供し、大会会場で働くスタッフの熱中症対策を支援するという。

アリババクラウドが提供する耳に装着するインテリジェントなデバイスは、クラウドベースのシステムと連携して、大会会場で働くスタッフの体温や心拍数を計測。デバイスを装着しているスタッフの体温や心拍数、また会場の環境に関する指数をもとに、現場で働くスタッフの熱中症リスクのレベルをリアルタイムに把握するとのことだ。

分析データにより、熱中症リスクが高まっているスタッフには、熱中症警戒アラートをあげるとともに水分の補給などの熱中症予防対策の通知メッセージが自動的に配信される。

熱中症警戒アラート

また、競技会場の14か所に設置された暑さ指数(WBGT)メーターにより、気温、湿度、日射量、幅射熱などの周辺環境の暑さ指数を観測するという。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 メインオペレーションセンター(MOC)チーフの中村英正氏は、次のように述べている。

「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は暑さから身を守るため様々な暑さ対策に取り組んでいます。オリンピック期間中にも猛暑が予想されますが、大会運営に従事する会場スタッフをサポートする上で、アリババが提供するクラウドベースの技術は重要な役割を果たしています。その技術は会場での暑さ指数測定やスタッフの熱中症予測モニタリングなどに活かされています。組織委員会は、アリババをはじめとするワールドワイドオリンピックパートナーとともに、安全な大会環境の提供に向けて注力してまいります。」

また、アリババクラウド・インテリジェンスの国際ビジネス担当ゼネラルマネージャーであるセリーナ・ユアン(Selina Yuan)氏は、次のようにコメント。

「アリババクラウドの最先端のクラウド技術を活用することで、オリンピックの安全で円滑な運営に貢献したいと考えています。当社の安定かつ柔軟に最適な運用を可能にする、安全なクラウドコンピューティング・インフラストラクチャは、さまざまな形でオリンピックのデジタル化に貢献し、新たな体験をもたらすと確信しています。」

耳に装着する熱中症対策デバイス

なお、アリババは東京2020大会のデジタル化を支援するために、以下のさまざまなクラウドサービスを提供している。

〇放送局向けの「OBSクラウド」
東京2020大会期間中、ライツホルダー(放送権者)放送事業者(RHB)に、デジタルおよびソーシャルメディア・プラットフォーム向けに特別に設計されたクラウド・ホスティング・プラットフォームへのアクセスを提供する。

〇アスリート向けの「3DAT」
標準的なビデオ、AI、コンピューター・ビジョンを活用して、アスリートの身体の20以上のポイントを3Dで抽出し、そのデータを多様な角度から可視化できるように変換する。

〇「プレスカンファレンス・オン・クラウド」
東京2020大会期間中に記者会見場に行くことができないメディア関係者のためのクラウド上のメディアサービス。

〇「TOKYO 2020 Make The Beat!」
SNSを通じて世界中の人々が東京2020大会に参加できる応援プロジェクト。

〇「オリンピックチャンネル」
リババクラウド上でホストされるOlympic.comは、オリンピック閉会後も、次の大会に向けて各競技や選手をフォローし、若い世代の観客をスポーツのムーブメントに引き付けることを目的としている。

〇「Alibaba Cloud Pin」
オリンピック期間中に国際放送センター(IBC)やメインプレスセンター(MPC)で働くメディア関係者が、安全かつインタラクティブな方法でお互いに交流し、ソーシャルメディアの連絡先情報を交換できるように設計されたオリンピック初のクラウドピン。