淺沼組は、「人間にも地球にもよい循環」をテーマにした、循環型プロジェクト「GOOD CYCLE PROJECT」(グッドサイクルプロジェクト)を、2021年4月1日に開始すると発表した。

現代の社会では、「いかに環境負荷を抑制し、持続可能な事業を行うか」という点が、大きな課題となっており、SDGsに向けた取り組みはもとより、今までの常識に囚われず、根本的に経営方針や事業を考え直さなければならない時代を迎えているという。

1892年に創業し総合建設業を営む淺沼組は、建設事業における環境に対する責任を真摯に受け止め、人間にも地球にもよい循環をつくるべく、リニューアル事業コンセプト『ReQuality』を立ち上げ。

『ReQuality』は、人間の環境だけでなく、その先の地球環境のことも考えることで、資源が循環し、そこで過ごす人たちの巡りも良くなる。そんなより良い循環を、淺沼組はリニューアル事業を通じて生み出していこうというコンセプトとのことだ。

このコンセプトを4つのアクションからなる「GOOD CYCLE PROJECT」を通して社会へ発信するとしている。

また同日、4つのアクションのうちの一つである「GOOD CYCLE PRODUCT」としてクラウドファンディングもスタート。

クラウドファンディングで購入できるのは、淺沼組の名古屋支店リニューアルの際に生じた建材の端材である、樹齢130年の杉材を活用したプロダクト。森林を感じる香りのプロダクトで部屋の空気を変えることで、おうち時間に自然を感じるひとときをもたらすとのことだ。

なお、収益は、淺沼組の創業の地でもある奈良の森林を保護するための活動費として全額寄付し、持続可能な林業の支援へとつなげるという。

活動概要:4つのアクションについて

「GOOD CYCLE PROJECT」は、以下4つのアクションにより展開。

①「GOOD CYCLE PRODUCT」:クラウドファンディング
②「GOOD CYCLE SERVICE」:リニューアル事業
③「GOOD CYCLE BUILDING」:名古屋支店リニューアル
④「GOOD CYCLE TALK」:オウンドメディア開設

①「GOOD CYCLE PRODUCT」:クラウドファンディング

クラウドファンディング(Makuake)を4月1日より開始。GOOD CYCLE PROJECTのコンセプトを手に取れるプロダクトに落とし込んだという。

第一弾は、名古屋支店をリニューアルする際に生じる100%自然素材の端材を活用し、香りで空間をリノベーションするプロダクト『ヨシノチップス』。おうち時間を、より良い循環で満たすとのことだ。

<クラウドファンディング概要・プロダクトの特徴>

クラウドファンディング(Makuake)にて、廃棄予定の吉野杉を資源と捉えてプロダクトにデザインした、淺沼組が贈る杉の香りのインテリア『ヨシノチップス』が応援購入可能。

このプロジェクトは目標金額の達成に関わらず、プロジェクト終了日の2021年6月29日までに支払いを完了した時点で、応援購入が成立するAll in型であるとのことだ。

ヨシノチップスは、樹齢130年の吉野杉から抽出したオイルを使用した100%自然由来の香るインテリア。

ポテトチップスを食べるような気分で、好みの器にチップスを盛りつければ、部屋が吉野の森に。さらに、ヨシノドロップス(オイル)は風呂や加湿器などにも使え、一日一回の使用でおよそ100日間使えるので、毎日新鮮な香りを楽しむことができる。

なお、このプロダクトの最大の特徴は、建設会社だから仕入れることができる建材を、多くの人の手に届く製品にしたところであるという。

吉野杉は、その一本一本が多くの人の手と時間をかけられて育ったブランド材。樹齢130年の吉野杉は建材としては一般的だが、アロマオイルの原料として使われることは滅多にない。淺沼組ならではの素材を贅沢に取り入れた、ここでしか手に入らないプロダクトとなっているとのことだ。

②「GOOD CYCLE SERVICE」:リニューアル事業

「ReQuality」というコンセプトをもとに、淺沼組が総合建設会社として長年培ってきた、技術やノウハウを活かしたサービス。

調査・診断から企画・設計、施工、維持管理までトータルでサポートすることで、建物の寿命を伸ばすという。

また、自然素材の活用や、建設残土を活用する版築※の技術を応用したブロックの開発、空間ヘルスケアの知見を活用した提案など、独自の技術やサービスで、建物の資産価値を守り、高め、スクラップアンドビルドではない手法を事業として展開するとしている。

<リニューアル事業概要>
5つのGOOD CYCLEで、建物の価値を守り、高める。

1.安全・安心技術によるGOOD CYCLE

地震や台風などの自然災害は大きな脅威となる。淺沼組はリニューアルに必要な安全・安心のための技術を大学などの研究機関とも連携し、開発している。最新の免震・制震補強技術で顧客の安全と資産を守るとのことだ。

2.イメージや機能の刷新によるGOOD CYCLE

イメージや機能性の向上は、資産価値の向上のみならず、生活する人・働く人・来訪する人など、建物に関わる全ての人によい影響を与えるという。また老巧化などへの早期対応は、建物へのダメージや維持コストを最小限に抑えるとのことだ。

3.用途変更によるGOOD CYCLE

建物は時間が経つと流行の変化や老巧化によって、建設当初の価値が失われていく。淺沼組は施設に求められる新たな要求や目的に対して不足する機能を補い、価値を高めるとしている。

4.環境に配慮した技術や素材によるGOOD CYCLE

地球規模の気候変動は人類の存続に関わる深刻な問題。この課題に対する建設分野の動きに年々注目が集まる中、同社は独自の技術や素材を研究開発し、課題解決に取り組んでいる。

5.健康科学によるGOOD CYCLE

空間のデザインや運用に、機能性や効率性だけでなく、ウェルネス(健康)の視点が重視されている。

環境や空間が健康にどんな影響を与えるのか、科学的なアプローチでその関係性を探り、そこで過ごす人にとってのより良い環境をつくるとのことだ。

また、名古屋支店の改修では、健康・快適性に配慮した建物・室内環境評価システム「WELL認証」の予備認証を取得。築30年を経過したオフィス全体の改修でのWELL認証の予備認証取得は本邦初。

今後は、同認証の取得に向け取り組んでいくとしている。

③「GOOD CYCLE BUILDING」:名古屋支店リニューアル

淺沼組の自社ビルである築30年を経過した名古屋支店を建築家の川島範久氏と淺沼組設計部との共同設計で改修中。

ReQualityのコンセプトに則り、GOOD CYCLE SERVICEとして提供する、既存躯体・空間の有効活用の可能性を示すとともに、建設残土をアップサイクルした版築ブロックや、土壁、吉野杉を活用したファサード(建築の正面)などの技術や素材を活用したオフィスビルだという。

空間ヘルスケアの知見なども活用し、人間にも地球にもよい循環を追求しており、2021年10月竣工予定。

<設計思想>
『循環の中の建築』

太陽の光や自然の風、大地からの土や木、植物などの生命。変化する自然との繋がりの中で生活することは、心身の健康や創造性の向上に寄与するものであり、省エネルギーにも寄与するという。

自然物を適切な方法で建物に取り込むことができれば、人工素材をアップサイクルし、自然素材を土に還すことができ、有限である地球資源の消費を抑えるとともに、地球環境を健全に保つことにも繋がる。

人々は地球の上に生きていて、様々なモノとの連関の中で生きている。このような感覚を持ち続け、自らの価値観やふるまいを見直していき、「より良い循環」を作り上げていけるような、新しい建築・都市のあり方の提案とのことだ。

<イメージ>

④「GOOD CYCLE TALK」:オウンドメディア開設

淺沼組社員やプロジェクトメンバーが、GOOD CYCLEに関係のある実践者を訪ねながら、よい循環とは何かを考えるという。

組織の枠、業種の枠をこえて、様々な人や業界と手を組みながら、人間にも地球にもよい循環について探求する連載。公開は5月1日からとのこと。

<編集長プロフィール>
伊藤ガビン
編集者。神奈川県生まれ。京都精華大学メディア表現学部教授。映像情報サイトNEWREEL(newreel.jp)編集長。コンピュータ雑誌LOGiN編集部を経て、フリーに。雑誌、書籍編集のほか、web、映像、ゲーム、美術まで幅広く編集活動に関わっている。また数多くの環境コンテンツも制作。愛・地球博サイバー日本政府館の子供向け環境記事「ニッポンカン新聞」や、「未来を変える目標 SDGsアイデアブック」に編集で参加している。

プロジェクト設立の経緯:建設業は、持続可能か。

人間の環境を整備することは、地球環境に手を加えることでもあるという。そんな当たり前のことが一番難しく、いま一番考えなくてはいけないこととし、人間にも地球にもよい循環を建設しなくては、建設業の未来はない、という思いで、淺沼組は建設事業における環境に対する責任を真摯に受け止め、人間にも地球にもよい循環をつくるというリニューアル事業のコンセプトを発信すべく、4つのアクションからなる「GOOD CYCLE PROJECT」の設立に至ったとのことだ。

また、同プロジェクトは、淺沼組の営業、技研、経営企画、設計、様々な部署の若手有志で構成されたチームが推進しているという。