日本取引所グループ(以下、JPX)は、AlpacaJapanをITサポートベンダとして、データサイエンスに興味のある個人をターゲットに、ITやデータ分析を活用した取引を促進するための環境を提供する実証実験プロジェクトの立ち上げを発表した。
近年、海外市場においては個人投資家においてもITやデータ分析を活用した取引が拡大している。
他方、日本においても様々なデータの活用やデータサイエンティストの育成が推進されてきており、こうした状況を踏まえ、JPXはAPIによるデータの提供やITを利用した金融データ分析にかかるチュートリアル等の学習コンテンツ(知識をインプットする環境の提供)を無償提供し、その利用可能性に関する実証実験を実施するとのことだ。
同実証実験において、無償で提供される金融データや学習コンテンツの利用を通じて、データ分析の経験者のみならず、「今まで金融データやデータ分析に知見がなかった初心者がポートフォリオ分析等のITを活用した投資手法を学ぶこと」や、「データサイエンスを学ぶ学生が金融データに興味を持つきっかけとなること」を期待しているという。
JPXは、今回の実証実験の結果を踏まえて、個人投資家の皆様に向けた、ITやデータ分析を活用した取引を行いやすい環境の提供についての検討を行うとしている。
プロジェクト概要は以下。
- プロジェクト名:J-Quants
- プロジェクト概要:ITやデータ分析を活用した取引の学習環境の提供に係る実証実験
- プロジェクトオーナー:日本取引所グループ
- ITサポートベンダ:AlpacaJapan、Amazon Web Service, Inc.
- データ提供社:日本経済新聞社、QUICK
- 実施期間(予定):2021年1月29日~7月
- データ提供API:
ITやデータ分析を活用した取引が行いやすいように、API形式で株価データや財務情報データを提供 - データ分析チュートリアル:
実際のコード例を参考に、ハンズオン形式で様々な金融データを用いて株価等のデータ分析を学習することができるチュートリアルを提供(使用言語:Python)
同実証実験においては、ITやデータ分析を活用した取引についての学びの場として、近年参加者数が増加傾向にあるデータ分析コンペティションを開催。
同コンペティションは、初心者からデータサイエンスに知見のある経験者まで幅広い個人が参加でき、様々な金融データから株価等の分析を行うものであるという。
同実証実験で提供された学習コンテンツで得た知識を同コンペティションにおいてアウトプットすることで、より実践的な学びの場とすることを期待しているとのことだ。
なお、入賞者には賞金も用意されている。
同コンペティションの概要は以下のとおり。
- 趣旨:
データ分析初心者からデータサイエンスに知見のある経験者までの幅広い人々に、普段触れることの少ない金融データに慣れ親しむことで、データ分析を活用した投資に興味を持ってもらう。 - 分析対象データ
- 課題①:各上場企業の財務諸表データおよび株価データ
- 課題②:上記データ+日経電子版見出し、メタデータ+適時開示データ
- 課題①:
分析対象データを用いて、各上場企業の決算発表後の株価の高値及び安値を予測することで、当該銘柄の決算発表後の先行きを予測する。 - 課題②:
分析対象データを用いて、購入および売却する複数銘柄を選択し、ポートフォリオを組成しておよそ1か月間のシミュレーションを行い、利益を競う。 - コンペティションプラットフォーム:SIGNATE
- 開催期間(予定)
- 課題①:2021年1月29日~7月
- 課題②:2021年3月~7月