資生堂は名古屋大学との共同研究により、心理物理学的手法を用いて、肌表面の摩擦や弾性が、柔らかさやハリ感などの柔軟感に大きく関係していることを新たに見出したと発表した。

従来、肌の大部分を占める真皮のコラーゲンやエラスチン、皮下組織などの物性が肌の柔軟感に関わることは知られていたが、肌表面の物性と柔軟感の関係はあまり着目されていなかったという。

今回、同社の強みである感性・心理研究とマテリアルサイエンス研究を融合させ、肌表面の物性と柔軟感の関係を発見。この発見は、ユーザーが毎日化粧品を心地よく使い、心健やかに過ごすための重要な知見であるとのことだ。

同社は、化粧は日常のささやかな行動であるが、肌だけではなく、心までも豊かに健やかにする力を持っているという。毎日のスキンケアで自分の肌に触れて安心する、メイクアップした顔を見て気持ちが明るくなる、良い香りを嗅いで心地よくなるなど、人々は化粧による五感の体験を通して元気になるとしている。

また、世界中の多様な利用者の満足を目指し、製品の効果・効能だけでなく心地よさや美しさを実感してもらうことを大切にしているという。

そのため、利用者の感性や心理を客観的に評価できる技術を独自に開発し深く研究してきたとのことだ。

今回、塗布した化粧品による肌表面の摩擦や弾性の小さな変化をユーザーが知覚し、柔らかさやハリ感の判断を行っていることを初めて科学的に実証したとしている。

なお、研究では、20歳代から60歳代の日本人女性39名に対し、物性として同じ柔らかさを持つ肌モデルの表面の摩擦のみを段階的に変化させた5種類の触感サンプルを用い、指で滑らせたときの柔らかさの印象を答える心理物理実験(順位法)を実施。

その結果、人は表面の摩擦が小さいほど柔らかさを感じることがわかったという。

次に、30歳代から40歳代の日本人女性25名に対し、2層構造の肌モデルの表層薄膜(シリコーン薄膜)の弾性のみを変化させた5種類の触感サンプルを用いて、指で押したときのハリ感の印象を答える心理物理実験(順位法)を行った。

この結果、人は表層の薄膜の弾性が大きいほどハリ感を感じることがわかったとしている。

今回の研究では、資生堂独自の触覚研究により、塗布した化粧品による肌表面の摩擦や弾性の小さな変化をユーザーが知覚し、柔らかさやハリ感の判断を行っていることを初めて科学的に実証。

同社は、今後も、感性・心理研究を深めることで、製品の効果・効能の追究に加え、利用者の心と肌に響いて満足される新たな価値の開発を行っていくとのことだ。