ガシャっと回してポンと出る——。

1977年に登場した手のひらサイズのカプセルトイ「ガシャポン®︎」は、いまや海を越えて世界中で親しまれている。仕掛けるのは株式会社バンダイのベンダー事業部だ。

その「ガシャポン®︎」の魅力を体感できる大型イベント『ガシャポン®︎に超夢中展2025』が、10月31日(金)〜11月2日(日)の3日間、サンシャインシティ文化会館ビルで開催された。イベントを通して、“世界のガシャポン”たる所以を探る。

ガシャポン®︎の世界を体感する3日間

3回目を迎えた『ガシャポン®︎に超夢中展』は、過去最多の事前予約数を記録。人気キャラクターや約300種類の新商品を展示する「新商品ストリート」をはじめ、オリジナルIP商品の「VIRUSWEETS(ウイルスイーツ)」「いきもの大図鑑」「まちぼうけ™」シリーズなどの特別展示が来場者を出迎えた。

約300種類の新商品が並ぶ「新商品ストリート」
VIRUSWEETSの展示ブース
いきもの大図鑑の展示ブース
まちぼうけ™の展示ブース

会場内では、「ガシャポン®︎」初の公式ソング『ガシャPOP』のミュージックビデオが上映され、楽しくてかわいらしい世界観を印象づけた。

さらに、ミュージックビデオの振り付けを担当した3人組ダンスアーティスト「パワーパフボーイズ」も登場。来場者に振り付けをレクチャーするコーナーや、ミュージックビデオ風に撮影できるミニ動画ブースも設けられ、会場は大いに盛り上がった。

振り付けを担当したパワーパフボーイズ

ギネスにも認定。ガシャポン®︎の進化と歩み

■豊富なラインナップと多様な販売形態

「ガシャポン®︎」は、1,200億円超といわれるカプセルトイ市場において、国内メーカー別売上シェア約57%を占める※トップブランドだ。

現在、オフィシャルショップは2025年現在、国内に265店舗、海外18の国と地域に115店舗を展開。世界売上No.1のカプセルトイブランドとしてギネス世界記録にも認定されている。2024年度の出荷数は2.2億個に達し、そのカプセルを積み上げると、地球の直径にほぼ匹敵するという。

人気の秘密は、なんといってもその圧倒的な商品ラインナップ。毎月120種類以上の新商品を市場に投入し、人気キャラクターやオリジナルIP商品、企業とのコラボ商品に加え、価格帯・形状・サイズも実に多彩だ。

高価格帯モデルの「プレミアムガシャポン」、うちわやクリアファイルといった平面商材に対応する「フラットガシャポン」、そしてカプセルトイの常識を超える90mmカプセルなど——。自販機の開発から商品設計まで自社で手がけることで、高付加価値な体験を実現している。オンラインストアやスマート決済にも対応し、ベンダー事業部の社員は「ガシャポンは、商品と自販機の“二人三脚”で進化してきた」と語る。

※バンダイ調べ

■サステナブルな取り組み

人気ブランドだからこそ、環境への配慮も欠かせない。

「ガシャポン®︎」は2021年よりカプセルのリサイクルを開始し、回収したカプセルを再素材化。「リサイクルエコカプセル」として再び市場に投入している。さらに、プラスチック使用量を約半減させる炭酸カルシウム配合の「グリーンカプセル」の開発や、カプセルをフィギュアの一部や台座として活用する商品など、廃プラスチック削減にも積極的に取り組んでいる。

サステナブルな取り組みを紹介する展示

■“キンケシ”が火をつけたガシャポンブーム

「ガシャポン®︎」は1983年〜1985年にかけて、TVアニメ『キン肉マン』のキャラクターを消しゴムにした“キンケシ”を発売し、累計1.8億個を売り上げ、一大ブームを巻き起こした。

以降、時代が求める人気キャラクターとのコラボや販売場所の拡充、90mmカプセルなどの技術革新を重ね、子どもから大人まで楽しめるカプセルトイへと進化。当時“キンケシ”に夢中だった世代が、再び「ガシャポン®︎」を回す姿も見られているという。

ガシャポン®︎自販機の歴史をたどる展示

カプセルの中には、驚きと遊び心、そして半世紀にわたる創意工夫が詰まっている。「ガシャポン®︎」は、これからも世界中に“回すたびのワクワク”を届け続けるだろう。

取材・文:安海まりこ