エア・ウォーターは、グループ会社である日本海水の「讃岐工場」において、既存の石炭火力発電所を木質バイオマス発電所へ転換する計画が「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」に採択されたと発表した。

同計画は、国産塩の安定供給体制を将来にわたって維持しCO2排出量の削減を図るもの。同計画に基づき、「讃岐バイオマス発電所」を2026年度に着工し、2028年度の運転開始を予定しているとのことだ。

製塩業界で国内約40%のシェアを持つ日本海水は、家庭用・業務用あわせて年間40万トンの塩の生産能力を有しており、従来から大規模な発電設備を保有している。

「讃岐工場」では既存の石炭火力発電により、年間約13万トン(※)のCO2を排出しており、国産塩の安定供給体制を維持しながら地球環境に配慮していくことが急務となっていたという。

また、日本海水では2015年以降、兵庫県赤穂市で2基の木質バイオマス発電所が稼働、2023年には福岡県苅田町にて木質バイオマス発電所が運転を開始し、全社を挙げて脱炭素の取り組みを推進してきたとのことだ。

「讃岐バイオマス発電所」では、国内の木質バイオマスを中心に一部海外材も活用しながら森林資源の循環利用を促進。これにより、坂出市全体のCO2排出量の17%に相当する削減が見込まれ、日本海水全体では2030年度に、2020年度比で67%削減を見込んでいるとのことだ。

また、2035年度には「赤穂工場」における脱炭素化の施策により、国内の製塩メーカーとして初となるカーボンニュートラルを実現し、CO2を排出しない製塩が可能になる見通しだという。

日本海水は今後も、「カーボンニュートラルの達成」に向けて一つひとつの取り組みを進め、持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。

■「讃岐バイオマス発電所」設備概要

設置場所:香川県坂出市大屋冨町1793番地の3 日本海水 讃岐工場内
発電方式:木質バイオマス発電
発電出力:最大9,400kW
燃焼方式:階段式ストーカ
燃料使用量:14万トン/年(燃料:建築廃材、樹皮、間伐材、海外材他)
投資額:約140億円(うち補助金40億円)

(※)経済産業省・環境省より公表されている「特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令」を用いて、石炭使用量から試算