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ラクスは、BtoB企業の営業部門担当者・責任者を対象に「BtoBセールスにおける生成AI活用実態調査」を実施し、結果を公表した。
■生成AI導入後の効果実感、「時間削減」と「余裕の創出」が上位に
はじめに、生成AIが実際に活用されている業務やその効果について調査を実施。
まず「生成AIを活用している業務」について尋ねたところ「営業メール・提案文作成」と回答した人が最も多く、「議事録の要約」「トークスクリプト作成」と続いた。
生成AIは営業の準備業務で多く活用されており、特に文章作成や情報整理といった言語系タスクでの導入が進んでいるとみられる。

次に、「生成AIを活用して良かったと感じていること」について尋ねたところ「業務にかかる時間が削減された」と回答した人が最も多く、「営業活動に余裕が生まれた」「アイデアが出しやすくなった」と続いた。
生成AIの活用によって、業務時間の短縮や余裕の創出が進み、営業現場では作業負担の軽減にとどまらず、提案や思考の質を高めるための時間が確保されるなど、働き方にも前向きな変化が生まれている様子がうかがえる。

■時短効果は定型作業でこそ発揮「1時間以上」実感の声も
続いて、業務ごとに感じられている時間短縮の実態を調査。
各業務で最も多かったのは「1分〜30分未満」の時間削減であり、特に「営業メール・提案文作成」や「商談準備の情報収集」など文章を扱う定型作業で時間削減の傾向が際立った。
また、1時間以上の削減効果を感じているケースも一定数みられ、もともと時間を要する業務ほど、生成AIの活用による業務負担の軽減を実感しやすい傾向がわかる。

■活用ツールはChatGPTが最多、Copilot・Geminiが続く
営業現場では実際にどのようなツールが活用され、どのように学習が進められているのかを調査するため「現在、業務で利用している生成AIツール・サービス」について尋ねたところ、「ChatGPT」と回答した人が最多に。
次いで、「Microsoft Copilot」「Google Gemini」と続いた。
また、「生成AIについてどのように学んでいるか」尋ねたところ「社内研修・eラーニング」が最多で、「社外セミナー・講演会」「YouTube・動画講座」と続く。
業務で利用されている生成AIツールはChatGPTが突出して多く、汎用性と導入のしやすさが評価されている様子がうかがえた。
一方、学習手段としては「社内研修・eラーニング」が最多となり、企業規模で、生成AIを業務に取り入れる体制づくりが進められており、営業成果への貢献にも期待が高まっていることが読み取れる。

生成AIについてどのように学んでいるか(右)
■生成AIで導入後、7割超が「受注率3%以上アップ」
続いて、「生成AIを導入後、受注率はどれくらい上がったか」について尋ねたところ、上位3つは「3~5%未満」「5%~7%未満」「1~3%未満」となり、「3〜5%未満」の上昇が最も多い結果に。
生成AIの活用によって業務効率が向上したことで、コア業務に時間をさけるようになった結果、それが営業活動全体に良い影響を与え、成果につながったと同社は考察している。

一方で、受注率の向上を実感していないと回答した層も一定数みられた。
<AIを活用したものの、受注率の向上に繋がらなかった原因>
・うまく利用できていないから(20代/男性/北海道)
・効率だけで売上を上げるプロンプトを入れていないから(40代/女性/宮城県)
・使い方がよくわからない(50代/男性/東京都)
・的確なアウトプットができなかった(50代/男性/千葉県)
・プロンプトの正確な指示ができていないため、結果を得るまでの効率が悪い(50代/男性/静岡県)
受注率の向上を感じていない層では、生成AIを思うように使いこなせていない実態も明らかに。スキル面の課題に加え、営業成果にどう結びつけるかという意識や工夫が、現場に十分浸透していない可能性も考えられる。
■成果向上には商談前の準備が重要なポイントに
「受注率を改善するために取り組みたい領域」について尋ねたところ「上流(商談前の準備やアプローチ)」が多数派となり、「下流(クロージングやフォロー)」を大きく上回った。
営業現場では、受注率改善に向けて、商談前の準備やアプローチといった上流工程への関心が高まっており、効率化だけでなく、商談機会の質を高めるための工夫が求められていることがうかがえる。

そこで、「上流の中で取り組みたい内容」について尋ねたところ、「顧客とのやり取りの効率化」が最も多く「新規リスト作成」「パーソナライズ営業メールの作成」と続いた。
営業の上流工程においては、顧客とのやり取りの効率化が最も重視されているという結果に。
また、新規リスト作成やパーソナライズされた営業メールの作成も上位に挙がっており、営業活動の入り口をいかに整え、確度の高いアプローチに繋げるかが、営業活動における重要な起点として位置づけられているとみられる。
このように、個々の顧客に合わせたコミュニケーションを遅滞なくスムーズに進めるなど、接点の質とスピードの両立が求められていることがうかがえた。

【調査概要】
調査期間:2025年6月17日~6月18日
調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
調査人数:397人
調査対象:
調査回答時にBtoB企業の営業部門担当者・責任者であり、商談創出に携わっており、業務で生成AIを利用していると回答したモニター
調査元:ラクス
モニター提供元:PRIZMAリサーチ
<参考>
ラクス『BtoBセールスにおける生成AI活用実態調査』