大日本印刷(DNP)は、医薬品向け包装に使用されるPTP(Press Through Package)のアルミ箔に代わり、バリア性能を持つポリプロピレン(PP)製フィルムを開発した。

同社はこれまで、PTP用PPシートとアルミ箔の分離が困難なことから、リサイクル性の向上が課題であったとしており、今回開発したフィルムにより、PTPのモノマテリアル化が可能になるという。これにより、生活者の利便性を維持しながら、国内医薬品市場で求められる印刷適性や密封性も実現できるとのことだ。

開発したPTP用PPフィルムの主な特長は以下の通り。
(1)バリア性能とリサイクル性の両立:
DNP独自のコンバーティング技術により、水蒸気透過度0.2g/平方メートル・day以下を実現。透明な薄膜層で構成することで、アルミ箔を用いずに高いリサイクル性を確保した。
(2)国内基準に対応した印刷適性・密封性:
材料や加工条件を工夫し、従来のPTP用PPフィルムで課題とされていた耐熱性や収縮性を克服。印刷の品質と密封性を両立させた。
(3)高い品質保持性能:
2025年6月に開発された「医薬品包装向けPTP用樹脂シート」と組み合わせることで、吸湿性に優れ、湿気に弱い製剤でも長期的な品質保持が可能となる。

同社は、同製品を医薬品メーカー向けに提供し、2030年度までに累計10億円の売上を目指すという。また、7月9日から東京ビッグサイトで開催される「第27回インターフェックス ジャパン」で同製品を紹介する予定としている。