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レバレジーズは、障がい者雇用の担当者対象に、精神・発達障がい者の雇用、入社後の定着についての課題や具体的な取り組みに関する実態調査を実施し、その結果を公表した。

■約7割の企業担当が精神・発達障がい者の職場定着に課題を実感
障がい者雇用を実施している企業の担当者に、「精神・発達障がい者の定着に関して課題を感じるか」と聞くと、約7割の採用担当者が「非常に感じている(23.1%)」と「どちらかというと感じている(45.5%)」と回答。

課題を感じる理由として、1位は「コミュニケーションが難しいから(44.9%)」、次いで、「体調変動に応じた業務量や勤務時間の調整が難しいから(41.1%)」「既存社員の障がいへの理解が不足しているから(39.3%)」が続いた。

精神・発達障がいは、外見から特性や必要な配慮が見えにくいため、柔軟な業務の調整に加えて、職場でのコミュニケーションや周囲の理解不足が課題となっていることが分かった。
企業規模別に見ると、中小企業では大企業に比べて「職場環境の整備が不十分」や「適切な評価制度の構築ができていない」「相談体制が不足している」といった、物理的・制度的な基盤に関する課題が、より多く挙げられた。
大企業では「体調に応じた業務量や勤務時間の調整が難しい」、「障がい特性に合わせた教育・研修制度が不足している」といった理由が挙げられた。雇用する障がい者の数が多い分、一人ひとりの障がい特性に合わせた配慮が行き届いていない現状がうかがえる。

■精神・発達障がい者の早期離職防止の取り組み、大企業では6割止まり
精神・発達障がい者の早期離職を防ぐための取り組みについて「取り組んでいる」と回答した企業は、中小企業で53.5%、大企業では63.3%に留まった。精神障がい者の入社後1年以内の定着率は49.3%と、他の障害種別と比較して低い(※)一方、約半数の企業は精神・発達障がいがある従業員の定着に取り組めていないことが明らかに。

精神・発達がい者の早期離職防止に取り組んでいるか(右は【企業規模別】)
具体的な取り組みは、企業規模に関わらず「定期的な面談の実施」や「採用前の配属先上司や既存社員との面談」が上位を占めた。
特に、中小企業では「採用前の配属先社員との面談の実施」や「必要な合理的配慮の確認」などの入社前の施策に、大企業では、「定期的な面談の実施」や「オンボーディングの実施」といった、採用後の取り組みに力を入れていることが分かった。

■精神・発達障がい者の就労、企業の最大の壁は「合理的配慮」と「社内理解」
「障がい者が働くうえで不足していると感じるもの」について聞いたところ、1位は「障がい特性に合わせた合理的な配慮(40.4%)」、次いで「業務内容の適性を見極めること(38.5%)」「社内の理解(35.9%)」と続いた。

一人ひとりに合わせた配慮やフォローが求められる中で、企業側が具体的な対応策や判断基準に迷うケースが多く、現状の施策が適切であるという確信を持てていないことがうかがえる。
企業規模別で比較すると、中小企業は「社内の理解」「相談しやすいサポート体制」「キャリア形成の制度・機会」を大企業よりも不足していると感じていることが分かった。
また大企業では、中小企業よりも相対的に「業務内容の適性を見極めること」や「柔軟な出勤体制を構築すること」が足りないと感じていることも明らかになった。

【調査概要】
調査対象:精神・発達障がいを持つ従業員を採用している担当者156名
調査年月:2025年4月25日~30日
調査方法:インターネット調査
回答者数:156人
調査主体:レバレジーズ
実査委託先:GMOリサーチ&AI
調査における企業規模の定義:
【中小企業】従業員数~999人以下の企業を指す
【大企業】従業員数1,000人以上の企業を指す
<参考>レバレジーズ『大・中小企業別に見る精神・発達障がい者雇用における実態調査(定着編)』
(※)2017年4月、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究(3貢)」