加熱式たばこ市場は、消費者の健康意識の高まりや多様なニーズに対応する製品開発により、さらなる成長が見込まれている。そうした中、JTは5月27日、RRP(※)事業戦略と新製品の発表会を開催。グローバルブランド「Ploom」を軸に、競争激化する加熱式たばこ市場でどのような戦略で推し進めるのか、方針を示した。

今回は当日の発表内容をもとに、加熱式たばこの市場動向やJTの成長戦略、そして日本市場での戦略に迫る。

2年で6,500億円の投資を行い、グローバルシェア拡大を目指す

JTの推計によると、たばこのグローバル市場全体(中国を除く)で、加熱式たばこが今後も最も成長が見込まれるセグメントだ。2025年には1,510億ドル規模の市場が、2035年には2,000億ドルにまで拡大すると予測されている。JT インターナショナルのRRPエグゼクティブ・バイス・プレジデントの筒井岳彦氏は、「全たばこセグメントの中で、加熱式たばこセグメントが今後も最も力強く、かつ一貫した成長を示すと私たちは予想しています」と述べている。

JT インターナショナル RRP エグゼクティブ・バイス・プレジデント 筒井岳彦氏

こうした市場成長を踏まえ、JTグループはHTS(※)セグメントへの投資を最優先しており、2025年から2027年にかけて6,500億円の投資を計画している。

これは、2028年にHTSセグメントで10%台半ばのシェア獲得と、RRP事業の黒字化という、グローバルベースの中期展望達成に向けた重要な一歩だ。

なかでもPloomブランドは、日本から始まり、わずか数年で世界の26市場にまで拡大し、HTS総需要の75%をカバー。日本は依然として中核市場であるが、グローバルでの勢いも増しているという。グローバル市場での戦い方については次のように語った。

「競争環境はますます厳しくなっていくことが予想されますが、その中で、Ploomが成功を収めるためには経営資源の集中、スピード、そして差別化が重要です」

次世代の加熱式たばこ開発で再出発。早期にHTSカテゴリ内で国内No.2ブランドを目指す

グローバルで戦っていくためには「まず日本市場での成功が重要」だと話すのが、JT たばこ事業本部 RRP商品企画統括部長の山口顕氏だ。「日本市場はHTSカテゴリにおいて、規模、競争、そしてお客様の成熟度すべてにおいて先進的な市場だからです」とその理由を述べる。

JT たばこ事業本部 RRP商品企画統括部長 山口顕氏

日本市場での具体的な目標として、2025-2027年の経営計画期間中にPloomを、HTSカテゴリ内でNo.2のブランドへ引き上げることを目標としているという。

すでに2025年3月以降、JTはHTSとInfused(※)カテゴリを含む「加熱式たばこカテゴリ全体」において、日本市場で2位を獲得。目標達成が現実的であることも示した。そして、グローバル市場におけるHTSセグメントで10%台半ばのシェア獲得と、RRP事業の黒字化という中期展望達成へと歩みを進める意向だ。

こうした目標達成に向け、新たに市場に投入したのが「Ploom AURA(プルーム・オーラ)」だ。

筒井氏は、「Ploom AURAは世界で最も競争の激しい加熱式たばこ市場で勝つために開発したものであり、これまでで最も先進的な製品と自負しています。このPloom AURAの発売は、Ploomブランドにとってグローバルにおける再出発です」と話す。

さらに、JT インターナショナルのシニア・バイス・プレジデントで、マーケティング&セールス担当であるナターシャ・ミロセビッチ氏は、「今日の成熟したお客様は、単なる機能以上のものを求めています」とPloom AURAの開発に言及。

「お客様は自分の生活にスムーズに溶け込み、価値観を反映し、そして自分の願望を刺激する体験を求めています」

JT インターナショナル シニア・バイス・プレジデント マーケティング&セールス担当 ナターシャ・ミロセビッチ氏

特に加熱式たばこに期待する顧客の声として挙げたのが、「味・吸いごたえの進化」と「より良いデバイスデザイン」の2つ。「私たちのミッションの中心にあるのは、ただ一つの真実、つまりお客様です」と、顧客中心のアプローチも強調した。

そのうえで「Ploom AURAだけが、五感と感情を満足させることで楽しみを拡張させ、センセーショナルで現代的なたばこの選択肢を提供します」と自信を示す。

デザイン面では、スリムなデバイス形状が日本市場で約7割のシェアを占めるという顧客ニーズを踏まえ、よりスタイリッシュでコンパクトな形状に進化させた。

4色のカラーバリエーションに加え、10色のフロントパネルを用意するなど、顧客が自分好みのスタイルをカスタマイズできる点も強調した。

顧客の選択を尊重し、市場での存在感も強化

さらに、Ploom AURAの登場と同時に「SENSATIONAL」プログラムも始動。Ploom史上最大規模のプレゼントキャンペーンや、豪華アーティストとのコラボレーション、イベント体験施策などが予定されている。

山口氏は「Ploom AURAを主要な成長ドライバーとし、私たちは日本市場で可能な限り早期にHTSカテゴリで第2位のポジションを獲得します。これから展開されるさまざまな取り組み、キャンペーンにどうぞご期待ください」と締め括った。

発表の後には質疑応答の時間も設けられた。

健康志向が年々高まる中、今後の方針に関する質問に対して筒井氏は顧客の選択を尊重する方針を示した。

「紙巻たばこを使っているお客様を意識的にほかの製品に促すというより、あくまでもお客様の好みに応じて最適な製品をご選択いただけるように準備します」

今回の発表会では、グローバルや日本市場での戦略、また市場シェアを獲得するための具体的な新製品に触れた。市場競争が激しさを増す中でも、「お客様中心」という軸をもとに、日本、そして世界で存在感を高めていくJTの挑戦は続く。