武蔵野大学と市萬は、賃貸不動産の原状回復時に行われるビニールクロス(壁紙)の張り替えに伴うCO₂排出量の削減効果を可視化する評価ツールを共同開発したと発表した。研究成果は、2025年5月21日に公表されたという。

壁紙張り替えの評価ツールへの入力と評価結果例

同研究は、入退去時に大量に発生する壁紙の張り替えに着目し、全面張り替えから部分張り替えへと施工方法を変更することによる環境負荷の低減効果を検証するものである。評価ツールを活用した実測調査では、壁紙の部分張り替えによって、最大で18.4kg-CO₂(約25%)の排出量削減が可能であることが確認されたという。

壁紙の張り替え工事の実測調査

研究対象は、1993年築のRC造5階建て、3DK・専有面積51.40平方メートルの賃貸住宅で、入居期間は2020年11月から2024年10月まで。研究では、BIM(Building Information Model)を活用して壁紙量を推計し、壁紙の張り替えシナリオ別に環境評価を実施したとのことだ。

評価ツールを用いた壁紙張り替えの評価結果

また、クロス1平方メートルあたり0.412kg-CO₂を削減できるとのデータも得られており、今後は壁紙以外の内装資材や設備にも対象を広げ、評価ツールの拡充を図る予定としている。