ECODAは、家庭の電気代の支払いをしている人を対象に「電気代高騰に伴う家庭の節電対策」に関する調査を実施し、結果を公表した。

■努力虚しく、半数以上が節電効果を「実感していない」と回答

まずはじめに、家庭における節電の意識について尋ねたところ、「家族全員が強く意識している」が44.7%で最多。家庭全体で節電を心掛けている層が一定数存在する一方で、約3割は個人に節電の意識が偏っている状況が明らかとなった。

また、具体的な節電対策として実施している行動を尋ねたところ、「こまめに電源を切る」「エアコンの設定温度を見直す」「エアコンの使用を控えている」が上位に。

上位に挙がった項目は、いずれも日常生活の中で意識的に行いやすく、かつ即効性のある節電手段である点が共通。

今年も猛暑が予想されている中で、エアコンに関する項目が上位に挙がっており、冷房使用の増加が避けられない中で、「できるだけ無駄なく使いたい」という意識の高まりがこれらの結果に表れていると同社は考察している。

【左】家庭における節電の意識【右】具体的な節電対策

節電対策を行ったことで、どの程度効果を感じているか尋ねたところ、一定の効果を感じてはいる人がいるものの、過半数以上が「思ったほどの効果を得られていない」と感じている状況が明らかに。

様々な節電対策を行いながらも、電力単価そのものの高騰や対策の継続的な困難さが影響し、電気代の削減に限界を感じていることがうかがえる。

また、具体的にどれくらい電気代が削減できたかを尋ねたところ、「月1,000円〜3,000円未満」が38.5%で最も多く、次いで「月1,000円未満」「月3,000円〜5,000円未満」と続く。

「月1,000円未満」「1,000円〜3,000円未満」が全体の7割以上を占めており、対策の割に大幅な削減を実感している層は一部に限られている実態が明らかになった。

【左】電気代高騰を、節電対策でどの程度抑えられていると感じているか
【右】具体的にどれくらい電気代が削減できたか

また、電気代が今よりもさらに上がった場合、他の生活費にどのような影響が出ると考えているのか。今後の電気代上昇を想定し、削る可能性のある支出を尋ねたところ、「外食・カフェ・テイクアウト」が最も多く52.8%、次いで「旅行・レジャー」趣味・娯楽」が続く。

娯楽や外食など、生活の“ゆとり”に関連する支出が真っ先に削減対象となっており、電気代が家計に与える心理的圧迫が浮き彫りに。一方で「医療・健康」「教育費」などは下位にとどまり、節約の優先度には明確な線引きがあることも判明。

今後の電気代上昇を想定し、削る可能性のある支出

■電力自由化から9年も、6割以上が電力会社や契約プランの変更行わず

「電力自由化」制度開始から約9年が経過した現在、実際に契約の見直しを行った家庭はどのくらいあるのか。

電力自由化以降、契約見直しについて尋ねたところ、「電力会社を変更した」「契約プランを変更した」「両方行った」を合わせ、変更経験者は4割以下に留まる結果となった。電力自由化以降、多様な選択肢が増えたにもかかわらず、6割以上の人が見直しをしていない現状が明らかに。

「電力自由化」制度開始後、契約プランの切り替えを行ったか

前問で「行っていないが検討中」「行っていないし、検討もしていない」と回答した人に、その理由を尋ねたところ、「どれが安いのか分からない」特に必要性を感じない」「プランが複雑で比較しづらい」が上位となった。

一方で、「電力会社を変更した」「契約プランを変更した」「両方行った」と回答した人に「契約変更による電気代の変化」について尋ねたところ、5割以上が何らかの効果を感じている一方で、効果を実感できていないという回答も一定数存在する結果に。

プランによっては使用量や時間帯で有利・不利が分かれることなどから、契約変更が必ずしも大きなコスト削減につながるわけではないことも示された。

【左】電力会社や契約プランの切り替えを行っていない理由
【右】契約変更による電気代の変化

■約8割が「節電は限界」と回答!浮上する“自家発電”の選択

止まらぬ電気代の高騰を受け、各家庭では節電や契約の見直しなど様々な対策が進められていることが明らかになったが、そうした取り組みに対してどれほどの人が負担や限界を感じているのか。

節電や契約見直しといった対応に限界や負担を感じているかと質問をしたところ、「とても感じている」「やや感じている」を併せて、約8割が「負担や限界」を実感していると回答。多くの家庭が節電や契約見直しといった取り組みに、継続的な努力や精神的な疲弊を感じている実態が読み取れる。

【左】節電や契約見直しといった対応に限界や負担を感じているか
【右】今後の対策として「太陽光発電」や「蓄電池」の必要性を感じるか

対策を行っても目に見える効果が薄いことや常に意識を求められることがストレスとなっている可能性があるが、今後の対策として「太陽光発電」や「蓄電池」の必要性を尋ねたところ、「とても感じている」「やや感じている」を合わせ、全体の約6割が肯定的な意識を持っていることが判明。

節電の限界や契約変更の煩雑さを背景に、自家消費型エネルギーへのシフトが現実的な選択肢として浮上している様子がうかがえた。

調査の結果に同社は、止まらぬ電気代高騰に、これ以上の努力を強いるのではなく生活に「自然に組み込まれる仕組み」の整備が求められる時期に来ていると考察している。

<参考>
ECODA『「電気代高騰に伴う家庭の節電対策」に関する調査