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Bioworksは、衣類の中でもライフサイクルの短い靴下・下着(パンツ・ブラ・ショーツなど)・肌着に焦点を当て、消費実態および廃棄状況に関する消費者調査を実施し、結果を公表した。
■靴下・下着・肌着の手放し方として「ゴミとして捨てる」を選択した人が最も多く、靴下で87.5%・下着で87.4%・肌着で82.2%
靴下・下着・肌着の手放し方について調査を行なったところ、約9割がリユース・リサイクルせずに廃棄していることが明らかに。
環境省の調査によると、家庭から廃棄した衣類全体のうち、ゴミとして廃棄されるものが66%であることを踏まえると、靴下・下着・肌着は、より廃棄されやすいカテゴリーであることが明らかになったとしている。
また、環境省の調査では、家庭から廃棄した衣類全体のうち、リユース・リサイクルされるものが34%あるのに対して、同調査では、靴下・下着・肌着のリユース・リサイクル率は平均で10.8%となり、より循環されにくいカテゴリーであることも明らかとなった。

■靴下・下着・肌着の廃棄が、環境に与える影響
仮に日本の人口の15-70歳までの8000万人が、同調査の結果明らかになったように、年間で一人あたり平均2.75足の靴下を手放して、そのうち87.5%をゴミとして廃棄していると仮定すると、年間の廃棄量は合計1億9250万枚におよぶという。
また、衣類の廃棄に伴うCO2排出量が1kgあたり2.29kg-CO2、靴下1足の重さを約100gと仮定すると、年間で約22,000トンものCO2排出量に加担していることになり、これは東京ドーム約9杯分に相当するとのことだ。(※東京ドーム1杯=約124万m3)

同社は、製品寿命も短く次の循環に繋がりにくい靴下・下着・肌着は、より環境負荷の少ない原料への置き換えと、リサイクルのしやすさを設計できるかが重要な課題となるとしている。
■ライフサイクルの短い靴下・下着・肌着が、リユース・リサイクルされにくい背景
同調査では、靴下・下着・肌着が資源循環されにくい背景を探るべく、実際に靴下・下着・肌着をリユース・リサイクルした消費者に、リユース・リサイクルに伴う障壁について調査を実施。
靴下・下着・肌着をリユース・リサイクルする際に、「どのようなことで困ったか」と質問。
その回答として、あまりに汚れすぎていて不安/臭い/使用感が気になる/リサイクルショップでは買い取ってもらえないなど、「衛生面で不安を感じたこと」や思うように売れなかった/高くならないなど、「リセールの対価に期待とのギャップがあった」ことが挙げられたという。
また、手順がわからなかった/思うようにいかなくて困ったなど、「利用方法の分かりにくさ」や店舗に行くのが面倒/梱包が面倒/写真や説明文の手間/手続きが面倒といった、「面倒くささ」なども挙げられたとのことだ。

この結果に同社は、これらの「衛生面に対する不安」「得られる対価に対する不満足さ」「面倒臭さ」などの消費者の心理が、リユース・リサイクルの行動を妨げる障壁となっていることが明らかになったとしている。
ライフサイクルの短い靴下・下着・肌着といった製品がより循環されやすくするためには、消費者が心理的な不安や不満を感じることなく、かつ、より手軽にリユース・リサイクルできるような回収の仕組み作りが重要であることがわかったとのことだ。
さらに、衛生面への不安に対しては、回収後のプロセスの透明性を高めることが重要で、製品が実際に原料まで戻され、再利用されているプロセスを丁寧に伝え、理解を深めていく必要があると同社は考察している。
【調査概要】
調査時期:2025年 4月1日~4月4日
調査方法:インターネット調査(Fastaskを利用)
調査対象:全国、20歳以上、男女1111名
<参考>
Bioworks『靴下・下着・肌着の消費実態および廃棄状況に関する消費者調査』