シムトップスは、製造業従事者102名を対象に、「現場帳票の実態とDXの定着状況」に関する調査を実施し、結果を公表した。

■「形だけのDX」。現場で起きている逆行現象

【2025年版調査】製造業の現場帳票に関する実態調査では、現場帳票を紙・Excelで管理している企業が依然として多数派であることが明らかになった。その割合は全体の69.6%。3年前の63.7%からむしろ後退する結果に。(5.9ポイント上昇)

現場帳票をどのように管理しているか

また調査で「2025年の崖」という言葉の認知度を調べたところ、89.2%と高水準であるにもかかわらず、DXの実装・定着が進んでいない結果も浮き彫りに。

これは単なる知識と実行のギャップではなく、「わかっているのに変えられない」という構造的矛盾が今の現場DXの本質になっていると同社は考察。

「2025年の崖」という言葉の認知度

現場では「DXは導入して終わりではない」という意識はあるものの、導入されたツールが現場にフィットせず、実際の業務で使いづらいという理由で結局紙やExcelに戻るという例も多く見られるという。

これは、導入フェーズでの意思決定者やDX推進担当と、実際に運用する現場との“認識ギャップ”に起因していることが多い結果とのことだ。

■なぜ、現場で定着しないのか?

同調査で紙管理継続の理由として最も多かったのは、「紙の方が利便性が高い」(42.9%)という声。Excelについても「クラウド化が進んでいない」(52.0%)、「使い慣れている」(50.0%)といった声が並んでいる。

つまり、導入されたデジタルツールが現場での運用設計を伴っていないがゆえに、利便性や慣習に負けていると同社は考察している。

紙管理継続の理由
Excel管理継続の理由

この結果に同社は、「慣れ親しんだツールの安心感」は決して軽視できるものではなく、現場は常に限られた人員と時間で業務を回してることから、新しいツールに学習コストが伴うだけでその導入効果が不明確であれば、現場の心理的抵抗感は容易に高まるとしている。

■「現場起点」でのDX再設計が急務

調査では91.5%の現場管理者が「電子帳票への対応を進めたい」と回答。しかし、これを実現するには、「導入後、誰が、どう運用し、どこで評価するか」までを含めた”定着設計”が必要だと同社は考察。

現場の変化を成功させるには、「日々のオペレーションがよりスムーズになる」という実感が必要で、ツールが業務を変えるのではなく、業務に合わせてツールが寄り添うという逆転の発想が、DX定着の鍵だとしている。

「2025年の崖」に向け、電子帳票への対応を進めたいか

<参考>
i-Reporter(シムトップス)『【2025年版調査】製造業の現場帳票に関する実態調査