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新世代のA(Action)面とB面(Business)に密着するインタビュー企画。第9回に登場するのは、こーくんさん。B面では、2025年2月に「なこなこチャンネル」の終了を発表し、個人として新たなキャリアを築き始めたこーくんさんのクリエイターとしての価値観に迫ります。
- 【こーくん】
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兵庫県明石市出身。
TikTokを始めとしたSNSでの「べしゃり酒」や、トーク力を活かし、お酒、野球などライフスタイルに関するコンテンツを発信中。MCやモデルなどでも活動し、Z世代を中心に支持を集めている。
- YouTube: https://www.youtube.com/@BESHARIZAKE
- Instagram: https://www.instagram.com/koki.hj.20/
- X: https://x.com/koki10181005
- TikTok: https://www.tiktok.com/@besharizake
こーくんのA面はこちら
SNSと自分の目。「良いもの」を見つけるための使い分け|こーくんのA面
数字を求めるのが楽しい。動画づくりの秘訣
ーアカウントを運営する上で最も重要だと考えていることは何ですか?
自分が楽しいと感じながら、好きなことをすることです。特に、数字を求めることが好きなので、それが一番重要かもしれないですね。数字が上がったり、結果が出たりすることはもちろん、数字が伸びなくても楽しいんですよね。もちろん焦ったり悔しいと感じたりもしますが、そのたびに自分で考えながらPDCAを回し、結果が出るまでの過程そのものが楽しいと感じています。
もう一つ大切なのは、「自分が一人の視聴者として、後からまた見たくなるような動画を作ること」です。つい自分の主観だけで動画を作ってしまうこともあるので、客観的に見て面白いのか、分かりやすいのか、第三者の視点で見るよう常に意識しています。
ーそれを達成するために取り組んでいる具体的な戦略は何ですか?
「こういうことをしたい」という目標やゴールはあるのですが、戦略というほどのものはありません。基本的には、その時々の数字を見ながら考えることがほとんどです。強いて言えば、数字が伸びない時はしっかり原因を分析し、YouTubeやTikTokで2~3日に1回投稿しながら、課題を見つけて修正を繰り返すことを意識しています。
ーメッセージや価値観を効果的に伝えるために心がけていることは何ですか?
動画の中でも外でも、常に自分らしくいることです。特別心がけていることはないのですが、「楽しくないと自分の素は出ない」と思っています。なので、自分が楽しめているかどうかは常に気にかけていますね。
コメントに左右されず、自分らしさは崩さない
ーインフルエンサー活動を始めた当初に直面した最大の挑戦は何でしたか?
「なこなこチャンネル」開設当初の登録者数10万人の壁です。当時、「登録者数10万人に到達したらYouTubeでご飯を食べていける」と言われていたので、YouTuberとしてのキャリアにおける最初の大きな目標でした。その時は就職活動をやめてYouTubeの活動に専念していたこともあり、10万人を達成できたのは本当に大きな経験でした。
ーその挑戦を乗り越えた経験から、どんな成長がありましたか?
動画作りにおいて大きく成長したと感じます。ドッキリ動画がバズったことで一気に登録者が増え、それをきっかけに「どうしたら視聴者が見てくれるか」「どんな反応をしてくれるか」が少しずつ見えてきたと思います。

ーこれまでの活動で失敗したと思うこともあったのではないかと思いますが、そこから回復するために大事にしていたことは何ですか?
素でいることを大切にしています。「こういうことをしたら良くない」と学びながらも、コメントに左右されず、常に自分らしくいることが何より大切なことだと思います。どんな状況でも、自分らしさは崩さないように心がけています。
「もっと見たい」と思ってもらえるために
ー視聴者との繋がりを強化するために特に重要視していることは何ですか?
コメントへの返信や「いいね」を積極的にすることです。こうした身近なアクションこそが、より濃いファンを作るために最も大事なことだと思っています。
もう一つは、視聴者が求めている動画を出すことです。みんながフォローしてくれる理由は「動画をもっと見たいから」だと思います。その人たちの期待を裏切らないことや、期待に応えられるコンテンツを作ることを常に意識しています。
ーファンのフィードバックをどのように取り入れていますか?
コメントを参考にし、面白そうなものは積極的に取り入れています。視聴者からのコメントをもとに動画を作ることもありますし、「いいね」が多くついているコメントは特に需要が高いと判断し、参考にしています。実際、視聴者の声を反映したコンテンツは反応も良いことが多いですね。
ーエンゲージメントを高めるために行っている具体的な取り組みにはどのようなものがありますか?
コメントを増やす工夫と、飽きさせない動画づくりです。まずは、コメント返しや「いいね」など、視聴者とのコミュニケーションを大切にし、コメントが増えやすい環境を作っています。その上で、動画をより長く視聴してもらう工夫も重要です。例えば、今やっている「べしゃり酒」では、「選手権」「アレンジ酒」などのフォーマットを作り、さまざまな展開を生み出しています。また、動画の中で“つっこみポイント”を用意することで、視聴者がリアクションしやすくなるような仕掛けも意識しています。
ネタ選びの基本は、トレンドや最新情報を追いかけること
ーコンテンツのネタを選ぶ際の基準は何ですか?
「べしゃり酒」では、TikTokでバーテンダーの方などのコンテンツを参考にし、面白そうなものや気になったことを企画に落とし込んでいます。例えば、ハイボールにジュースを混ぜているコンテンツを見て、「コーラとペプシだったらどっちがおいしいんだろう」と気になり、実際に企画として取り上げたことがあります。
ー視聴者の関心やトレンドをどのように把握して取り入れていますか?
XやTikTokでバズっている話題やトレンドをチェックしています。例えば、「未来のレモンサワー」が話題になった際、再発売が決まったと知り、すぐに企画を立案。再発売の日に合わせて投稿することで、視聴者の関心が高まるタイミングを逃さないようにしています。
ーコンテンツ制作のアイデアを得るためにどのような活動をしていますか?
SNS以外では、「nomooo(ノモー)」というお酒専門のメディアを活用しています。お酒は毎月300種類ほど新商品が出ると言われており、「nomooo」では、多様なお酒や最新情報が掲載されるため、常にチェックするようにしています。

嘘は視聴者にバレる。好きな思いが伝わるコラボ
ーコラボしたいブランドや企業はありますか?その理由も教えてください。
ハイボールの火付け役であるサントリーさんや、地方の酒造さんとコラボしてみたいです。若い人にお酒に興味を持ってもらえるような企画ができたら面白そうだなと思っています。また、地方の酒造はまだSNSの活用が十分ではない部分もあると思うので、そこに自分の経験を活かせたらいいなとも考えています。
ーコラボレーションを選ぶ際の基準は何ですか?
コンテンツの方向性に合わないものや、嘘になるようなものはしないようにしています。視聴者にはすぐに伝わってしまいますから。僕自身が普段から使っているものか、本当にいいと思うものかを基準に選んでいます。
ー過去のコラボレーションで特に成功したと感じるプロジェクトはありますか?その成功の秘訣は何だと思いますか?
全部うまくいったと思います(笑)。やっぱり、自分が好きなものとコラボしているからこそ、視聴者にもその思いが伝わるし、自分も楽しく取り組めているんだと思います。
変わらないまま、新しい見せ方をしたい
ー新しい挑戦を始めた理由は何ですか?
これまで「なこなこチャンネル」では多くの女性ファンに応援していただきましたが、今後は男性ファンも増やしていきたいと考えています。あと3年で30歳を迎えますし、新たな挑戦を通じて、より幅広い層に発信していきたいと思っています。
ー今後取り組みたいことや目標を教えてください。
同年代の男性に「飲み友になりたい」「一緒に飲んでみたい」と思われる存在を目指しています。お酒だけでなく、食べ物なども含めた発信を通じて、より親近感を持てるクリエイターになりたいですね。そして、ゆくゆくは登録者数100万人を達成することを目標にしています。

ー自分自身の成長や革新性を維持するために日常的に行っていることはありますか?
コンテンツは変わりましたが、発信する手段はこれまでと同じです。YouTubeやTikTokを活用するスタイルは変えず、これまで積み重ねてきた経験を生かしています。だからこそ、特別な変化を加えるというよりは、今までと同じ舞台で、新しい見せ方をしていきたいです。
150万人以上の登録者がいたチャンネルに区切りをつけ、個人で新たな道を拓いていくこーくんさん。これまでとはターゲットもコンテンツも変えての活動は、大きな挑戦だ。しかし、自分のこれまでの経験や積み重ねてきたものを土台として、新たな見せ方で楽しいことを追求する姿に共感する人もいるだろう。何より、取材を通じても感じた飾らない性格こそ、多くの男性をファンにするのではないだろうか。
文:安藤 ショウカ
写真:小笠原 大介