JACリサーチは、一般企業で正社員として働く男女を対象に、管理職や女性活躍に関する調査を実施し、その結果を公表した。

■20〜50代会社員で管理職になりたい人は約3割、女性は男性より低い割合に

同調査で、正社員として働く20〜50代に男女に、課長クラス以上の管理職になりたいか聞くと、「管理職になりたい」が25.2%で、男性29.5%に対し女性17.8%と、女性の管理職意向は男性より低い結果に。

また、年代別に見ると、20代は34.2%と3割を超えているが、年代が上がるごとに意向は低くなっていることが明らかになった。

課長クラス以上の管理職になりたいか

■現管理職の4割以上が「希望して」管理職になり、管理職としての充実度は男女とも7割以上

従業員1,000人以上の企業で、課長以上の管理職として働く20〜50代の男女500人に、管理職になる前の気持ちを聞くと、44.2%が「希望して管理職になった」と回答。女性は39.2%と男性の49.2%より10.0ポイント低い結果に。

管理職に就く前の管理職意向

しかし、管理職としての充実度を聞くと、男女とも73.6%と高いことが明らかになった。

管理職としての充実度

一方、管理職としての充実度を勤続年数別に見ると、3年未満の人の充実度が65.9%とやや低くなる結果に。

管理職としての充実度(勤続年数別)

■男女ともに管理職になって悩むのは「ストレス」「部下の育成」、女性管理職は3割が「男性優位の環境」と感じている

管理職になって悩むこと・課題に感じることを聞くと、男女では「ストレスが増えた」が41.8%、「部下の育成が難しい」が37.8%、「ハラスメントにならないために気を遣う」が37.2%、「業務負荷が大きい」が32.6%と続いた。

男女別で見ると、「男性優位の環境である」と感じる女性管理職は27.2%と、男性管理職の3.2%と大きな差がみられた。

管理職になって悩むこと・課題に感じること

■管理職に就く上の課題は、「会社のサポート不足」と「ロールモデルの不在」

1,000人以上規模の企業で働く20・30代の正社員男女1,000人に、管理職に就く上での課題を聞くと、65.0%が「会社によるサポートの不足」、61.8%が「ロールモデルの不在」、39.3%が「性別による偏見」と回答。

ロールモデルの不在は女性だと69.4%にのぼり、管理職意向女性では72.0%と特に高い結果に。

なお、「性別による偏見」と回答した人は、女性が52.0%、男性が26.6%と男女で約2倍の差があり、管理職意向の女性では61.6%とさらに高いことが明らかになった。

管理職に就く上での課題

■現管理職の7割が「女性管理職の比率を上げるための人事が行われている」と感じている

現管理職に、女性管理職比率を上げるための人事が行われていると感じるかを聞くと、70.0%が「そう思う」と回答。

具体的には「女性の方が実力に比べ出世しやすい」(42歳・男性)、「女性管理職比率を増やす目的で、優秀な男性社員が管理職になれない」(53歳・女性)といった声が挙げられたという。

一方、管理職としての適性の評価基準が男性管理職の働き方をベースに作られていると感じるか聞くと、男性は44.4%、女性は62.0%が「感じる」と回答し、「昇進は性差を感じないが、求められる業務内容・負荷は男性基準」(45歳・女性)、「女性管理職の人数は増えているが会社としてのフォローがない」(53歳・女性)といった声があがったという。

女性管理職比率を上げるための人事が行われていると感じるか/管理職としての適性の評価基準が男性管理職の働き方をベースに作られていると感じるか

また、性別が理由で昇格できたと周りから見られるかと聞くと、男性は32.4%、女性は36.4%と男女差はあまりないものの、30代では51.0%と半数以上が性別での昇格を感じていると明らかになった。

女性は課長になることができても、それより上の役職に就くことが少ないと感じているか聞くと、男性は34.4%、女性は53.2%が「感じる」と回答。

性別が理由で昇格できたと周りから見られるか/女性は課長より上の役職に就くことが少ないと感じているか

■ビジネスパーソンの7割が女性管理職や女性の活躍を歓迎

1,000人以上規模の企業で働く正社員男女1,500人に、自身の職場での女性活躍について聞くと、全体の66.7%が職場での女性活躍が「進んでいる」と回答。

一方、職場での女性活躍が進んでいないと答えた人に理由を聞くと、「女性社員の比率が低い」が41.4%と最も多く、次いで「業界全体で遅れている」が29.0%、「男女の役割に対する固定観念や偏見が根強い」が27.0%、「環境・制度が整っていない」が24.8%と続いた。

職場での女性活躍/職場での女性活躍が進んでいない理由

■ビジネスパーソンの約7割が「女性管理職が増えてほしい」「女性活躍は企業価値を高める」と歓迎

正社員男女1,500人に女性活躍について聞くと、69.8%が「職場で女性管理職が増えてほしい」、73.5%が「企業が女性活躍を推進することは企業価値向上につながる」と回答。

女性活躍についての思い

■今後、職場で求められるのは、大掛かりな改革よりリアルな改善。実態に即したルール作りが課題に

正社員男女1,500人に、職場に既にある制度と今後期待する制度を聞き、既にある制度より期待する制度のスコアが高いものを見ると、「育休取得者が出ても周りに大きな負担が生じない環境」が21.5%、「昇進基準の明確化」が19.4%、「社内ロールモデルの可視化」が14.0%という結果に。

今後職場に必要だと思う制度

<参考>
JACリサーチ「管理職者の充実度、男女ともに7割以上