タナベコンサルティングは、全国の企業経営者、役員、経営幹部、部門責任者、デジタル担当者などを対象に「2024年度 デジタル経営に関するアンケート」を実施し、結果を公表した。

(1)DXの取り組み進捗度では「全体的にまだ不十分」が約4割と最多、昨年から6.9ポイント増加

DXの取り組み進捗度について、「全体的にまだ不十分」と回答した企業が37.2%と最多となり、次いで「複数の“業務”でデジタル活用」と回答した企業が25.0%となった。

昨年度の回答結果と比較してみると、「全体的にまだ不十分」と答えた企業が6.9ポイント増加し、「複数の“業務”でデジタル活用」と回答した企業が2.4ポイント微増。

DXの取り組み進捗度

DXを進める中で新たな課題が見えてきたことやDXの取り組み自体が思うように進まないことで、「全社的にまだ不十分」という自覚が増えてきていると同社は考察している。

(2)DX戦略の状況では3割以上が「デジタル施策は場当たり的」と回答

DX戦略の状況について、「デジタル施策は場当たり的」と回答した企業が32.7%、次いで「DX戦略はあるが推進度に課題」と回答した企業が26.3%となり、前年と比較しても増加傾向となった。

この結果に同社は、DX戦略を策定すること自体が経営の優先度や推進担当の経験スキルなどの要因から、ハードルが高く進まない、かつ、DX戦略を策定してもその通りの推進には至っておらず、課題を感じている企業が増えていることが示唆されるとしている。

DX戦略の状況

(3)約4割が「DX推進部門を保有」。兼任中心となっている割合は昨年より7.0ポイント増加

DX体制の状況について、「DX推進部門を保有(専任あり、兼任中心)」と回答した企業が合わせて38.8%となり、昨年と比較して増加。

一方で、DX推進部門を保有していても兼任中心となっている割合が昨年よりも7.0ポイント増加していることから、DXの需要に対しての組織はつくったものの、専門人材が不足していると同社は推察。

DX体制の状況

(4)デジタルマーケティングは「現在実施はしてない/これから取り組みたい」が3割以上と最多

デジタルマーケティングの取り組み成果は、「現在実施はしていないが、これから取り組みたい」が33.7%と最も回答率が高く、未だにマーケティングのデジタル化に着手できていない企業が多くある現状がうかがえる結果に。

次いで、「デジタル施策は実施しているものの、成果に結びついていない」と回答した企業が29.6%となった。一方で、施策によって何かしらの成果に繋がっている回答を合計すると約30%となることから、取り組んだ結果、成果創出ができている企業とできていない企業が二分されていることが分かる。

デジタルマーケティングの取り組み成果

この結果に顧客データの利活用レベルが、デジタルマーケティングの成否につながっていることが推察できるとしている。

(5)「有用なマーケティングデータがつかめていない」企業のうち、4割以上が「顧客データは表計算ソフトレベルで管理」

マーケティング活動でのデータ活用度について、「結果と対策が結びついていない」が14.4%となり、昨年から3.5ポイント増加していることから、データに基づくマーケティング活動ができていない企業が多いことがうかがえた。

マーケティング活動でのデータ活用度

また、「有用なマーケティングデータがつかめていない」と回答した企業のうち、データ管理レベルは「顧客データは表計算ソフトレベルで管理」と回答した企業が44.2%と最も多くなっていることから、システム導入以前に手作業での集計に依存している実態も浮き彫りとなっている。

データ管理レベル

(6)経営判断にデータを活用している企業のうち、3割以上が「Excelでデータ加工している」

デジタル技術を活用したデータ活用の取り組みについて、「必要なデータが蓄積され経営判断に活用されている」と回答した企業のうち、「必要なデータを定義できていない」割合が3.4%と最も低くなった。一方で、31.0%は「Excelでデータ加工している」状態に。

デジタル技術を活用したデータ活用の取り組みについて

この結果から、多少の非効率はあったとしても、会社にとって必要なデータが何かを定義できていることが、データを経営判断に活かすための重要な要素であると同社は考察している。

また、同様に「必要なデータが蓄積され経営判断に活用されている」と回答した企業のうち24.1%が、「データ活用できる人材が不足している」と回答。データサイエンティストの需要に対して供給が圧倒的に不足しており、人材育成・獲得に多くの企業が苦戦している状況が見て取れる結果となった。

<参考>
タナベコンサルティング『2024年度 デジタル経営に関するアンケート