日本農業は、2024年11月より八戸港を利用した青森県産りんごの船舶輸送を本格稼働したと発表した。
同取り組みでは、物流の「2024年問題」への対策として、輸出する青森県産りんごを八戸港から京浜港まで船舶で運び、安定した輸送方法を確立させ、さらなる輸出拡大を目指すとしている。
同取り組みは、青森県弘前市にある日本農業のりんご選果場から輸出するりんごを陸上輸送で八戸港まで運び、八戸港よりRORO船またはコンテナ内航船で京浜港まで海上輸送。京浜港からはコンテナ外航船で台湾や香港、タイなどのアジアを中心とした仕向国まで輸送するという。
海上輸送は2024年11月~2025年1月の期間中、週4本程度で実施し、陸上輸送と併用で最適化を図るとのことだ。なお、青森県産りんごにおいて、RORO船を活用した海上輸送は初めてとしている。
同社は、2024年シーズンはさらなる青森県産りんごの輸出拡大を目指しているとし、約185%増加する輸出本数に対して1割ほどの貨物を海上輸送する計画だという。なお、稼働状況により海上輸送の本数を増やすことも検討しているとのことだ。
同取り組みにより期待される取り組みは以下の通り。
■期待される効果
・安定した輸送モデルの確立
物流の「2024年問題」で従来のようにトラックで長時間・長距離での輸送ができず生じている国内輸送力の低減に対して、船舶を活用することで安定した輸送手段を確保。海外の消費地でニーズがあるタイミングに青森県産りんごが供給できる体制の構築を図る。
・陸上輸送に関わるドライバーの負担軽減
トラックなどの陸上輸送では、選果場のある青森県弘前市から京浜港まで約710kmを走行。船舶での海上輸送では、選果場から八戸港までの約130kmをトラックやトレーラーで陸上輸送する。陸路による長時間・直距離の輸送を減らすことで、ドライバーの負担を軽減することが可能に。
・環境への負荷軽減
トラックが1トンの貨物を1km運ぶ際に排出されるCO2の量は、208gとされており、それに比べて船舶での同様の輸送のCO2排出量は43gと、約80%の軽減につながる。(2022年度試算)
同社は八戸港を活用した効率的かつ安定した輸送形態を構築し、青森の基幹産業であるりんご産業に貢献できるよう今後もまい進していくとのことだ。