ライオンは、リサイクル性を向上させたつめかえパックを初めて採用した「ルックプラス バスタブクレンジング クリアシトラスの香り つめかえ用大サイズ」を数量限定で11月から発売すると発表した。
同社では現在、つめかえ製品が製品全体の出荷量の約8割を占め、年間約35万トンものプラスチック使用量の削減に貢献。しかし、日用品で用いられるつめかえパックの多くは、複合素材よりなることから、容器としてリサイクルすることが困難だったという。
同社は、artienceグループの東洋インキと共同で、洗剤などの日用品の包装容器にも利用できる「剥離リサイクル技術」を開発。複合素材を分離し、高純度な単一素材としての回収が可能になることで、プラスチックリサイクルの促進が期待できるとしている。
■「剥離リサイクル技術」について
つめかえパックを含む「軟包装」と呼ばれるフィルムパッケージは、用途ごとに異なる要求性能を確保するために、ポリオレフィンやポリエステルなどのフィルムの間に、印刷インキと接着剤といった多素材を用いる複層構成(積層フィルム)になっているという。
これが、質の高いリサイクルを阻害する要因の1つとなっていたとのことだ。そこで、東洋インキでは、複数の素材のフィルム同士を剥離し、印刷用インキをプラスチックから取り除くことにより高純度な単一材質として素材を回収する「剥離リサイクル技術」を開発。
同技術では、水中でのアルカリ処理により接着剤層が溶解し、ナイロンやPETからなる表フィルム層とポリエチレンからなるフィルムが剥離。剥離後に、比重の大きい表フィルム層は沈み、比重の小さいポリエチレンフィルムは浮くことによって、高純度なポリエチレンフィルムを回収することが可能だという。
同社は、この技術をもとに東洋インキとともに改良を重ね、洗剤などの内容物の品質や物理的な強度を担保しながら、リサイクルが容易にできるつめかえパックの製品化に至ったとしている。
■今後の展望
・同技術を採用したつめかえパックがリサイクルできることの実証
つめかえパック製造時に発生した端材など、製品として使用されなかった積層フィルムを回収し、再びつめかえパックのフィルムとして活用することを目指す。2025年中の製品上市を目標に、検討を推進しているという。
・業界を越えて利用できる包装容器設計ガイドラインの策定
つめかえパックリサイクルの社会実装に向けて、業界の垣根を越えて社会全体で取り組めるよう、同技術をつめかえパックの標準的な技術とした、リサイクルしやすい包装容器の設計ガイドラインの策定に取り組むとのことだ。
日用品業界だけでなく他業界も含めて共同で検討できる団体を募り、検討する予定だという。
・つめかえパックの分別システムの確立
同つめかえパックと既存のつめかえパックを選別できるシステムの確立を進めるとしている。同社は、高度な資源循環型社会の実現に向けて、リサイクルに対する生活者の理解・協力を得るための啓発活動や次世代教育などの社会貢献活動にも取り組むとのことだ。