LIFEMは、30歳~69歳の働く男性1,000名を対象に「男性更年期障害に関する意識調査」を実施し、結果を公表した。

■男性更年期障害の可能性があると感じている人は5割以上。自覚がない人も含め何らかの不調を感じている人は7割以上、毎日症状を感じるという人も。

男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、またはLOH症候)とは、概ね40歳以降に男性ホルモンであるテストステロンが減少することにより身体、精神、性機能に様々な症状が引き起こされる状態のこと。

同社は、はじめに男性更年期障害について知っているかを調査。

その結果、「名前は知っている(その他の情報はよく知らない)」と回答した人が58.0%と最も多く、次いで「名前、症状について知っている」23.4%、「まったく知らない」18.6%となり、半数以上が名前は知っているが詳しい情報はよく知らないことがわかった。

男性更年期障害について知っているか

次に、男性更年期障害について「名前は知っている」「名前、症状について知っている」と回答した人に自身の男性更年期障害の自覚についてたずねてみると、最も多い回答が「なんとなくそうかもしれない、可能性があると感じている」で52.7%。

次いで「現在自覚はなく、可能性も感じていない」38.6%となり、「現在自覚がある」と答えた人は8.7%のみという結果に。

一方で、全ての人に対して男性更年期にみられる17の症状を挙げ、現在感じている症状全てを選択してもらったところ、「1~3個」37.2%、「4~6個」25.2%、「7~9個」8.9%、「10~12個以上」4.2%、「13個以上」1.2%となり、7割以上の人が一つ以上何かしらの症状を感じていることがわかった。

また、その症状を感じる1カ月あたりの日数については、「1カ月のうち数日程度」35.2%が最も多く、「1カ月のうちほぼ毎日」22.4%、「1カ月のうち1週間程度」19.8%と続き、何かしらの症状をほぼ毎日感じている人も2割以上いることも判明。

【左】自身の男性更年期障害の自覚
【中】男性更年期にみられる17の症状のうち現在感じている症状
【右】症状を感じる1カ月あたりの日数

男性更年期にみられる症状があるからと言って男性更年期障害であるとは言えないものの、可能性も否定できないため、同社はひとつでも気になる症状があり続く場合には、まずは医療機関への相談をすることを勧めている。

■不調があっても普段通りの生活ができている一方で、仕事のパフォーマンスには影響も。転職や昇進辞退などを考えたり、実行した人も。

現在男性更年期障害の自覚がない人も含め、感じている何らかの症状による心身の不調は、日常生活にどの程度影響を及ぼしているかを聞いたところ、「ある程度影響はあるが、普段の生活ができる」と回答した人が50.6%で最多。

「特に影響はなく、普段通りに過ごすことができる」38.7%、「ある程度影響があり、普段の生活が送りづらい」9.0%、「影響があり、普段通りの生活ができない」1.7%と続き、多少影響はあるものの、9割近くは普段通りの生活ができていることがうかがえる。

感じている何らかの症状による心身の不調は、日常生活にどの程度影響を及ぼしているか

一方、仕事にはどのような影響を及ぼしているのか、不調がない時に発揮できる仕事のパフォーマンスを100%とした場合の、不調があるときのパフォーマンスを聞いたところ、平均値は63.3%となり、36.7%パフォーマンスが下がるという結果となった。

どのような影響があるかについては、「やる気が起きない」56.4%、「集中できない」38.3%、「眠気に襲われる」33.2%が上位に。

さらに、症状による心身の不調が原因で離職・転職・休職・昇進辞退について考えたことはあるかについては、「考えて、実施した」という回答は離職7.8%、転職12.3%、休職7.3%、昇進辞退7.6%、部署異動9.5%。

「考えたことがある(実施しなかった)」は離職40.8%、転職43.8%、休職26.3%、昇進辞退18.3%、部署異動25.2%という結果となり、実際にキャリアへも影響している人や実施に至らずともキャリアを考える上で障壁となっている人がいることがわかった。

【左】仕事にはどのような影響を及ぼしているか
【右】症状による心身の不調が原因でキャリアについて考えたことはあるか

■不調に対する対処は約半数が我慢している。医療機関を受診し治療した人は2割以下という結果に。

続いて、感じている症状についての対処法を聞いたところ、「我慢している(特に何もしない)」が49.9%と最も多く、次いで「セルフマッサージ、ゆっくり入浴など自分でできることをしている」19.4%、「医療機関を受診・治療している(受診・治療した)」19.0%となった。

不調を感じていても受診しない理由を聞いてみると「医療機関に行くほどの辛さではないので」34.2%、「受診しても改善できると思わないので」28.0%、「特に理由はない、何となく」21.8%が上位に。

2割弱の人は「何科を受診すればいいかわからないので」(16.4%)と回答しており、知識不足により医療機関の受診に至らないと同社差考察している。

【左】感じている症状についての対処法【右】不調を感じていても受診しない理由

■職場で男性更年期障害について相談したことがない人は8割以上。相談窓口や相談の仕方に悩む声も。

現在男性更年期障害の自覚がある、可能性があると感じている人に対して、職場で男性更年期障害について誰かに相談したことがあるかを調査した結果、「ある」と回答した人は15.6%で「ない」が84.4%となった。

、職場で男性更年期障害について誰かに相談したことがあるか

8割以上の人が相談したことがないと回答しているが、その理由については「相談したいと思ったことはない」32.9%、「誰に相談すればよいかわからない」30.3%、「どのように話せばいいかわからない」24.2%が上位となり、相談窓口や相談の仕方に悩んでいることがうかがえる

また、現在男性更年期障害の自覚の有無にかかわらず、勤め先は男性更年期障害に対する理解があると思うかについては、「理解がないと思う」31.0%、「あまり理解がないと思う」46.3%を合わせて7割以上の人が、理解がないと思っていることが判明。

【左】、職場で男性更年期障害について相談したことがない理由
【右】勤め先は男性更年期障害に対する理解があると思うか

前問でも仕事のパフォーマンスへの影響やキャリアにも支障をきたしていると回答している人が一定数いるため、企業としても、悩んだ時に気軽に相談ができる環境づくりや男性更年期障害に関する正しい知識啓発など、従業員が安心して長く働くことのできる職場づくりの必要性がうかがえたとしている。

<参考>
LIFEM『男性更年期障害に関する意識調査