サントリーホールディングス(以下、サントリー)は、「固体吸収法」(※1)を用いたCO2回収実証試験を行い、蒸溜工程で発生する低濃度のCO2を99.5%以上の高純度で分離・回収することに成功したことを発表した。
同実証は、東京ガス、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(以下、TGES)とともに、サントリー白州蒸溜所において、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)実証実験により実施。
CCUとは、工場等から排出されたCO2を分離して回収し、有効利用する技術。CO2の循環利用を可能にすることにより、GHG(温室効果ガス)排出量削減にも寄与すると注目されているという。
今回採用した固体吸収法は、CO2の分離・回収のプロセスを約60℃の低温で実現できることが特徴で、将来的には工場等で未利用の低温廃熱の活用により、同プロセスを低エネルギーで実現することが期待されているとのことだ。
同実証では、東京ガス・TGESが、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(以下、RITE)および三浦工業と共同開発した小型のCO2分離・回収装置を使用。なお、同装置は、RITEが開発した固体吸収材(※2)を用いて、三浦工業が設計・製作したものだという。
今後は、回収したCO2を現地で有効利用するCO2の資源循環(オンサイトCCU)(※3)について検証していくとともに、同実証の結果を踏まえ、サントリーグループとしてCCUの活用拠点や生産工程についても検討予定とのことだ。
■同実証における各社の役割
サントリー:実証場所提供・実証支援
・生産工程と連結した実証試験環境およびユーティリティ(※4)の提供(一部工場設備の改造を含む)
・実証実験の基準・評価項目の策定
・実証実験成果の検証
東京ガス・TGES:開発統括・実証実験主体
・コンセプト・開発方針策定
・RITE・三浦工業とのCO2分離・回収装置の共同開発
・実証実験の実施
・回収したCO2の品質分析
(※1)代表的なCO2分離・回収技術のひとつで、CO2を選択的に吸収できるアミンを多孔質支持体に担持した固体吸収材を用いてCO2を分離・回収する手法。
(※2)CO2を選択的に吸収できるアミンを多孔質支持体に担持した固体材料。
(※3)排出されるCO2をその場(オンサイト)で分離・回収、利用すること。
(※4)空気・水・電気など、工場の生産設備の稼働を支えるために必要なもの。