INDEX
LIFULL(ライフル)は、「ホームレス」に関する全国の男女1,902人のイメージ調査および、不安定な居住環境にある人々などの支援を行う支援団体がもつ実感の調査を実施し、結果を公表した。
同調査は、9月21日~28日まで韓国・ソウルで開催されるサッカーの世界大会「ホームレス・ワールドカップ」に出場する日本代表のオフィシャルスポンサーに同社が就任したことから、ホームレス・ワールドカップの日本代表派遣団体であるダイバーシティサッカー協会と共同で実施したとのことだ。
(1)35%が今後自分がホームレス状態になる「可能性がある」と回答。年代別では20代の約2人に1人が「可能性がある」と回答。
「今後、自身がホームレス状態になる可能性の程度」について尋ねたところ、可能性がある(十分あると思う、場合によってはあると思うの合計)と回答した割合は全体の35.1%、約3人に1人という結果となった。
回答を年代別に比較したところ、20代が46.6%と最も高く、約2人に1人がホームレス状態になる可能性があると回答。
一方、ホームレス状態になる可能性がない(ほとんどないと思う、ないと思うの合計)と回答した割合は、年代が上がるにつれて高くなる傾向があり、60代の65.0%が最も高く、20代の36.7%が最も低くなっている。
【2】「ホームレス状態の人」と聞いてイメージする居住環境で最も多いのは「道路や公共空間」
ホームレスに関する研究を行う国際的な機関「Institute of Global Homelessness」によるホームレス状態の定義等をもとに、1,902人に「ホームレス状態の人」と聞いてイメージする居住環境を調査。
その結果、「道路やその他の公共空間」をイメージする(「する・ややするの合計」74.6%)という回答が最多となり、従来のホームレスの定義にあてはまる居住環境のイメージがやはり根強いことがわかった。
次いで、「24時間営業の商業施設(ネットカフェ・漫画喫茶・サウナなど)」が56.3%、「行政やNPOが一時的な支援として提供する個人に一定期間割り当てられた部屋」が53.3%と続き、ホームレス状態の人は道路や公共空間だけに居住しているわけではないというイメージがあることも判明。
「メディア報道などを通じて『ネットカフェ難民』といった目に見えにくいホームレス状態が存在することへの認知がある程度広まったということなのかもしれないと同社は考察している。
一方で、「友人や親戚の家」は29.9%と、ホームレス状態のイメージが弱いこともわかった。
また、イメージ調査の結果が上記であったのに対し、支援団体に「団体へ支援の相談をされる人で、不安定な居住環境にある方の居住環境」について尋ねたところあてはまる人が多いと回答した内訳は以下となり。
・「24時間営業の商業施設(ネットカフェ・漫画喫茶・サウナなど)」/7団体
・「友人や親戚の家(一時的)」、「民間が運営する安価な宿泊施設(カプセルホテル、ドヤなど)」、「行政やNPOが一時的な支援として提供する個人に一定期間割り当てられた部屋」/団体
・「道路やその他の公共空間」/5団
・「人の居住に適さない住居」、「暴力に晒されるおそれのある住居」/4団体
・「行政が日毎に提供する臨時の夜間宿泊所」/3団体
・「極端に人口過密な住居」/2団体
・「国外からの難民や難民申請者、その他移民のための収容施設」、「家庭内暴力(DV)を理由に利用する避難所」/1団体
道路やその他の公共空間にとどまらない、「広義のホームレス状態」を支援していることが見てとれる結果となった。
【3】「ホームレス状態の人」がその状態に至った原因としてイメージされるもの1位は「倒産・失業」で約8割。一方、支援団体向け調査では「心身の病気やケガなどで働けなくなったから」「精神障害や発達障害を抱えているから」等を全団体が回答
「ホームレス状態の人」と聞いてイメージする人がその状態に至った原因としてイメージするものを尋ねたところ、「勤務先の倒産や解雇、事業の失敗による失業」が79.6%(する・ややするの合計)で最も多い回答に。
次いで「借金の返済など債務がある」が73.0%、「アルコール依存症やギャンブル依存症を経済的な事情により生活が立ち行かなくなった」が67.0%と続く。
また、「働くのが嫌」や「本人が望んだ(望んでいる)」についても約6割の人がイメージを持っており、いわゆる自己責任論的な原因に対するイメージも根強いことも判明。
一方、イメージ調査の回答上位10項目に関して、支援団体の実感調査では、7団体全てが「心身の病気やケガなどで働けなくなった」に「あてはまる方がとても多い」と回答。
また、イメージ調査と支援団体の回答でギャップがあった原因は「働くのが嫌」で、前者は6割超であるのに対し、支援団体では1団体のみの回答に留まる結果となった。
【4】「ホームレス状態の人」が現状を改善するために必要な施策でイメージするものは「雇用支援」。支援団体では住まいに関するサポートの選択率が高く、ギャップも。
「ホームレス状態の人」と聞いてイメージする人の現状を改善するために必要な施策3つについて尋ねたところ、「雇用に対する支援」が36.7%と最多となった。
その他の回答には「低価格の公営住宅の提供」、「社会的なサポートネットワーク」、「生活保護などの公的支援の拡充」が続き、雇用と住まい、生活費の施策が必要というイメージであることが判明。
一方、支援団体が必要と感じている施策は、6団体が「低価格の公営住宅の提供」、5団体が「家賃補助制度の拡充」と回答しており、支援の現場では住まいに関する施策の優先度が高いことがわかった。
【5】「ホームレス状態」の居住環境に対する満足度のイメージでは「満足していない」が40%超。「どちらともいえない」、「分からない」も20%以上
「ホームレス状態の人」と聞いてイメージする人の居住環境への満足度のイメージについて尋ねたところ、「満足している(満足している、どちらかといえば満足しているの合計)」という回答は全体の16.2%。
それに対し「満足していない(満足していない、どちらかといえば満足していないの合計)」という回答は全体の41.0%という結果に。
一般調査の結果と同じく、支援団体では「満足していない」が6団体となり、1団体は「どちらともいえない」という回答となったという。
「満足していない」という回答の理由や背景では、安心できない環境でストレスや不安を感じることなどがあげられたとのことだ。
【調査概要】
<イメージ調査>
・調査実施期間:2024年8月1日~8月5日
・有効回答数:1,902名
・調査方法:インターネット調査
・調査対象者:全国20代~60代の男女
・調査は性年代別人口に合わせたウェイトバック集計を実施
グラフは小数点第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合あり
<実感調査>
・回答団体(7団体):一般社団法人つくろい東京ファンド、一般社団法人反貧困ネットワーク、NPO法人まきばフリースクール、認定NPO法人Homedoor、他3団体
※3団体は希望により名称は非公表
<参考>
LIFULL『「ホームレス」に関するイメージと実感調査』