本コラムは、企業・団体などから寄稿された記事となります。掲載している取り組みやサービスの内容・品質、企業・団体などをAMPが推奨・保証するものではありません。

各企業・一人ひとりのパートナーシップ構築の加速をサポートするため、サステナブル推進企業の取り組み事例をコラム形式で提供。

今回はテックマークジャパン株式会社の取り組みを紹介する。

テックマークジャパンの取り組み

アプローチ視点 モノを修理しながら長く安心して使うためのツールである「延長保証」というサービスの提供を通して、SDGsにおける「12.つくる責任つかう責任」を意識した環境保全に取り組んでいます。延長保証を浸透させることで、過剰な生産や廃棄の削減に繋がると考えています。
実施内容 ・延長保証サービス提供による修理という選択肢の優先度を上げる
・延長保証と環境保全に関する情報発信
・保証修理におけるリサイクル部品、リビルト部品の使用
・様々な製品の使い方やメンテナンス、修理に関する情報の発信
推進体制 広報3名に加え、営業部門1名および修理関連業務部門1名が中心となって情報発信、推進活動を実施している。 広報と現場それぞれの目線で多角的に意見し合い、バランスよくサステナビリティを推進。

取り組み実施に至った背景

テックマークジャパンは、故障したら修理せずに買い替えることが大前提でモノが扱われている「大量生産・大量消費」の現代社会において、「延長保証」というサービスの提供を行っています。

「延長保証」はモノを長く安心して使うための手段であり、この「延長保証」事業自体が、サステナビリティの推進活動だと当社は捉えています。

当社は、1994年から延長保証事業を開始し、今年で30周年を迎えます。延長保証の提供を通じて、様々なモノの寿命を延ばしたい。買替えではなく修理という地球環境にやさしい選択を促進することが、環境保全に貢献できると考えています。そして、延長保証の大切さを広め、全てのモノに延長保証が付いていて当たり前の社会を作ることが当社の目指す未来です。

実施している取り組み

延長保証とは、その名の通り、メーカーが提供するメーカー保証期間の終了後も引き続き同等の修理保証を提供するサービスです。当社は、メーカーや販売店と共同でこの延長保証サービスを設計、運営しています。

ほとんどの製品には1年から2年のメーカー保証が付いていますが、実際の製品寿命(耐用年数)は5年から10年と長い場合がほとんどです。そして、メーカー保証期間終了後に故障が発生した場合には、当然修理費用を負担しなければなりません。その際に、買替えを優先するのではなく、修理しながら長く使っていただくために延長保証が活躍します。

当社は、メーカーや販売会社を中心に、様々な企業と共同で延長保証を提供しています。家電や自動車、住宅設備だけでなく、楽器やメガネなど、多種多様な製品カテゴリについて延長保証の設計・運営を行っています。

パッケージ化された延長保証サービスではなく、クライアント企業が扱う商材、マーケティング方針、消費者の層に合わせてカスタムメイドのサービスを構築することが、当社の特徴の一つです。

営業活動としては、クライアント企業と共に新しい保証サービスを作り上げたり、既存のサービスを社会や市場の変化にあわせてアップデートしたりすることが中心です。また、延長保証という商材を消費者に対して説明・販売するクライアントの営業担当や販売店のスタッフに対して、勉強会も実施しています。延長保証の販売促進を目的とするだけでなく、「延長保証とサステナビリティの関連性」についても伝えることで、地球にやさしい選択を広めていくことを常に意識しています。

<情報発信>
当社は延長保証事業を通じて蓄積された修理データとノウハウを活用し、消費者が製品を大切に長く使えるよう情報発信を行っています。

2024年に創立30周年を迎える当社は、30年間にわたる膨大な修理データと修理に関するノウハウを持っています。このデータとノウハウを活用し、メーカーや販売会社とは異なる中立な立場から、製品の使い方、メンテナンス、修理に関する適切な情報を発信しています。

また、クライアントであるメーカーや販売会社に対して、自社では気づきにくい故障傾向の分析や情報連携を行うことで、メーカー保証の内容見直しや修理マニュアルの改訂にも役立てていただいています。

これらの活動は、収益に直接つながらない地道なものではありますが、継続的に情報を発信することで、製品を寿命まで大切に使う社会の構築に貢献し、長く使うための延長保証の重要性も広めていきたいと考えています。

テックマークジャパンは、延長保証制度事業を通じて、「つくる責任、つかう責任」(SDGs12)に取り組んでいます。延長保証の提供自体が環境保全に繋がると考え、「延長保証とサステナビリティ」の関係を広め、延長保証がもっと身近な社会になるように活動を続けています。

「つくる責任」として、製造者側はメーカー保証を設定していますが、多くの消費者は製品をもっと長く使用するため、次の買替時期頃まで安心して使い続けられる延長保証の導入を提案しています。

また、「つかう責任」として、消費者側にはモノを大切に使用し無駄な消費を減らすことが求められています。当社は、製造者側への営業活動や様々な情報発信を通じて、延長保証を社会に浸透させ、消費者にとって修理して使い続ける選択肢の優先度を上げる活動を行っています。

日本における延長保証の認知度はまだまだ低く、これは大きな課題となっています。日本の延長保証は多くの場合、購入時のオプションとして提供され、購入者に追加費用が発生する形態が主流です。そのため、延長保証の役割や意義が浸透していない現状では、値引きが日常的に行われている販売現場において、販売者が延長保証を追加で提案することが難しいケースが多いようです。

この課題を解決するためには、消費者の延長保証に対する認知度を高め、販売者がより提案しやすい延長保証の仕組みを作る必要があると考えています。

当社は外資系損害保険会社のグループ企業であり、グローバルな延長保証の知見を活かせることが強みです。日本においては、1990年代の創業以来、延長保証は徐々に広がってきていますが、欧米ではそれ以前からすでに延長保証は一般的なツールとして社会に認知されています。また、製品に延長保証があらかじめ組み込まれて販売される形態が最も多いと言われています。

日本でもこのような販売形態を増やすため、製造・販売側におけるメリットを効果的に伝えることが重要です。そのため、営業活動において提案内容を工夫し、製造・販売側に延長保証のメリットを理解してもらえるよう努めています。

また、前述のとおり、当社は30年間にわたる膨大な製品データや修理データを保有しており、これらのデータを活用することで、新しい分野や製品における延長保証の導入を支援することができます。幅広い製品に延長保証を提供することで、より多くの製品の長寿命化に貢献しています。

営業活動だけでなく、蓄積した修理データを活用し、長く使用するためのポイントや正しい使い方、お手入れ方法、修理に関するナレッジなどの情報発信を行っています。

そして、当社には家電修理や製品全般に精通する総合家電エンジニアの資格を持つ修理のエキスパートが在籍しており、彼らと連携することで、最新かつ消費者に寄り添った形での情報の発信をしています。

市場の拡大と企業の参入増加は、当社の取り組みの明確な成果といえます。

当社が延長保証事業を開始してからの30年間、営業開始当初は、延長保証を提供している企業は当社を含め数社しかありませんでした。しかし現在では、多くの企業がこの延長保証市場に参入しており、消費者にとっても「延長保証」を目にする機会が大幅に増えています。市場が活性化することで、さまざまな延長保証の形が構築され、製造者・販売者・消費者にとって、延長保証がより使いやすいサービスに洗練されてきています。

さらに、製品の電子化・複雑化に伴い、延長保証の対象となる製品カテゴリも拡大し、保証期間も製品買替サイクルに合わせて長期化する傾向にあります。

当社は、消費者の認知度を高めるとともに、製造者や販売者にも延長保証を提供することの社会的意義を認識していただき、「延長保証」が当たり前の社会を目指して活動を続けていきたいと考えています。

【社内・外への発信方法】
・Webメディアへの記事掲載、書籍
家電を中心として様々な製品の使い方、メンテナンス、修理に関する情報をウェブメディアや書籍の記事執筆を通じて発信。

・営業活動(提案)
クライアント企業および見込企業へ延長保証の導入、改善を提案

・営業活動(勉強会、説明会)
クライアント企業の製品を実際に店舗で販売する販売スタッフや販売代理店社員に対して延長保証や修理に関する勉強会を実施

・社内報
社員の日常の些細なサステナブルな活動をピックアップして紹介

サステナビリティ推進体制

企画部3名(SDGsの取組全般の企画、親会社のSDGs担当との連携)
営業部1名(延長保証の営業を通じてクライアント、消費者に対するアプローチ)
業務部1名(総合家電エンジニアの目線で修理を中心とした情報発信)

今後の目標や展望

企業として、延長保証が当たり前の社会を創ることが目標です。それがビジネスとしての成長だけでなく、環境保全にも必ずつながると認識しています。

そのために私個人としても、常にクライアント企業とのコミュニケーションを大切にし、クライアント企業のマーケティング戦略や消費者のトレンドに敏感に反応できるよう「物が売れる現場」に足を運ぶことを心掛けています。これが私の仕事における真価であり、SDGsにおける使命の一環でもあります。

製品の寿命を延ばすことが地球環境への配慮となり、SDGsへの貢献になると確信しています。修理を通じて製品を大切に使用し続けることが、私たちの未来への保証だと考え、今後も営業活動に尽力していきます。

当社は延長保証を提供することで修理を促進していく立場にありますが、日本における「修理」自体にも大きな課題があります。修理技術者の低賃金とそれに伴う人材不足は深刻です。修理専門業者だけでなく、メーカーでもメンテナンス社員を自社で抱えることによる人材コストが問題となっています。

例えば、エアコンが壊れて修理を依頼しても、数週間待たなければならないケースなどがあります。延長保証に加入していても、修理が迅速に提供されなければ意味がありません。

今後は、当社も延長保証を提供するだけでなく、修理を提供する企業との協力体制を強化し、「修理」のイメージアップや業界全体の活性化にも取り組む必要があると考えています。

福永 将
テックマークジャパン株式会社
営業部 西日本営業課 大阪営業第1チーム チーム長
1987年 大阪生まれ。 2010年に大学卒業後、家電をメインとした生活用品メーカーに営業として就職。大手ホームセンターを主要クライアントとして持ち、商品本部でバイヤーへの新商品や企画の導入提案を行うだけでなく、常に消費者目線で店舗を回り、売り場づくりや店頭販売にも従事。
その後、2017年9月にテックマークジャパンに入社。2年間東京本社での勤務を経て、2019年より大阪にて勤務。
▼お問い合わせ先
●テックマークジャパン株式会社
●メールアドレス:techmarkj@aig.co.jp
●URL:https://www.techmark.co.jp/extended_warranty/

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