ファームノートホールディングスは、エス・ディー・エスバイオテックと出光興産とともに、サステナブルな酪農畜産経営を実現するために三社共同試験を開始したことを発表した。

同社グループのファームノートデーリィプラットフォーム(以下、ファームノートDP)は、管理搾乳頭数670頭、全飼養頭数1,450頭の酪農経営牧場。

同試験では、ファームノートDPで飼養する搾乳牛に、機能性飼料「カシューナッツ殻液(※)含有飼料」を給与し、給与前後での個体ごとのメタン排出量の削減効果を測定するとのことだ。

ファームノートDPが各個体の搾乳データや排出されるメタンおよび二酸化炭素の測定データなどを提供し、カシューナッツ殻液含有飼料の供給とメタンガス測定データの解析をエス・ディー・エスバイオテックが担当するという。

反芻動物である牛は、第一胃(ルーメン)で食べた草や飼料をルーメン内微生物が消化(発酵)する際にメタンガスを生成し、主にゲップとして排出。メタン(CH4)は二酸化炭素(CO2)と並び、重要な温室効果ガス(以下、GHG)の1つであり、その温暖化係数はCO2の約25倍だという。

世界全体の反芻動物由来のメタン排出量は年間2.7ギガトンのCO2換算(GtCO2e)とされ、人為的なメタン排出量の約30%を占めるという。つまり、牛などの家畜からのメタン排出の地球温暖化への関与は大きいといえるとのことだ。

同試験では、牛からのメタン排出を削減するため、消化管由来のメタン生成を抑制する方法として、「カシューナッツ殻液含有飼料」の給与を実施。排出量の測定と管理のほか、「カシューナッツ殻液含有飼料」給与前後でのメタン排出量の比較もするとのことだ。

試験牧場ではない、民間の酪農牧場で実際の搾乳牛の個体ごとのメタン削減量を測定することは、カーボンニュートラル実現に向けた飼養管理確立の上で、画期的なものだとしている。

ファームノートDPは、中標津に第一牧場をおき、働く「人」と「牛」そして「環境」に配慮した酪農生産のDX化(デジタルトランスフォーメーション化)を推進。これまでも特殊なふん尿処理によるGHGの削減(固形分の利活用)など環境負荷軽減に取り組んできたという。

今回の共同試験もその一環であり、同社グループは今後も環境負荷軽減に貢献する企業やプロダクトとのコラボレーションを通じて、サステナブルな酪農スタイルの確立を目指すとしている。