公益財団法人1more Baby応援団は、既婚男女2,961人を対象に「夫婦の出産意識調査2024」を実施し、その結果を公表した。

■日本は子どもを産みやすい・育てやすい国に「近づいていない」と感じている人が過去最多

日本は子どもを「産みやすい」「育てやすい」国に近づいているか聞いたところ、産みやすい国に「近づいていると思わない」が76.8%、育てやすい国に「近づいていると思わない」が78.1%と、8割弱が「近づいていない」と回答。

次に、同結果を子どもが1人の人と2人以上の人で比較したところ、どちらも子ども1人の人の方が「近づいていない」と感じている割合が高く、「2人目の壁」があることが示唆される結果に。

日本は子どもを「産みやすい」「育てやすい」国に近づいているか

2017年からの調査結果の推移を見ると、「近づいていない」と回答した人の割合がどちらも過去最多となり、物価高などが出産、子育て意識に影響しているのではないかと同社は考察している。

日本は子どもを「産みやすい」「育てやすい」国に近づいているか(2017年からの調査結果の推移)

次に、日本は子どもを「産みやすい」「育てやすい」国に「近づいていると思わない」と回答した人に、その理由を聞いたところ、「児童手当の金額が十分でないから」「育児と仕事の両立が難しいから」などが上位に。

子育てに対するさらなる経済的なサポート、働く環境の改善、中長期的に安心、信頼できる制度が求められていることが分かった。

日本は子どもを産み育てやすい国に近づいていないと思う理由

■理想の子ども人数は平均1.74人。現在既婚者で子どもがいない人の半数以上が「子どもなし」を希望

理想の子どもの人数を聞いたところ、全体平均は1.74人となった。現在の子どもの人数別に見ると、子どもが1人の人は平均1.67人、子どもが2人以上の人は平均2.44人だったが、現在子どもがいない人では平均0.87人となり、55.7%が「子どもなし」を選択。

既婚者で子どもがいない人の半数以上が「子どもがいらない」と回答する結果に。

理想の子ども人数

■全体の78.9%が2人目以降の出産をためらう「2人目の壁」が存在すると回答 

自分の家庭に「2人目の壁」が存在すると思うかと聞くと、78.9%が「存在すると思う」と回答し、過去11年で最も高い結果に。

「2人目の壁」が存在すると思う割合

「2人目の壁」が存在すると回答した人にその理由を聞いたところ、子育てや教育など家計の見通しなどの「経済的な理由」を選択した人が73.4%で最多に。

次いで、「第一子の子育てで手いっぱいのとき」「ゆとりの ある時間、自由な時間が取りにくくなる」「(特に育児のストレスなど)心理的な理由」が上位となり「2人目の壁」には、多くの要因が影響していることが分かった。

「2人目の壁」を感じる理由

■子どもがいる人の約8割が「子育て費用に不安」を感じ、約6割が「子どもの生活費を控えている」

子どもがいる人に、昨今の物価高の子育てへの影響を聞いたところ、81.7%の人が「物価高により、子育て費用に不安」を感じ、59.2%の人が「物価高のため、子どもにかかる食費や衣料費などの基本的な生活費を控えている」と回答。

物価高が実生活や心理面に影響し、子育てに対する不安が増していることが伺える。

子育てに対する物価高の影響

■国や自治体の出産・子育て支援制度、既婚男女の約半数が「将来の不安解消にならない」「出産の後押しにならない」と回答

国や自治体の出産・子育て支援制度に対する全体的な印象を男女別で比較すると、女性の約半数が「将来の不安解消にならない」「出産の後押しにならない」「地域差があって不公平」と回答し、男性に比べ女性の不安度が高い傾向に。

国や自治体の出産・子育て支援制度に対する印象

■子どもがいる人は、子どもがいることで「これまでにない感動や喜びを体験」している

既婚男女のうち子どもがいる人に、子どもがいることによる良い変化を聞いたところ、「これまで感じたことのない感動や喜びを体験できるようになった」が最多に。

子育てに対し様々な不安を感じる人が多いものの、子どもがいることで、今まで経験したことのない喜びや感動を味わう人が多いことが伺える。

子どもがいることによる良い変化

また、子どもが2人以上いる人に、2人以上の子どもを産み育てて良かったと思うことを聞くと、「家族が多くなったので、にぎやかで楽しくなった」「子ども同士で遊べるようになった」「子ども同士で成長した」が上位に。

2人以上の子どもを持つことは、子どもの成長にも役立つと考えられていることが分かった。

2人以上の子どもを産んで育てて良かったこと

【調査概要】
実施期間:事前調査2024年3月27日~4月8日
本調査2024年4月1日~4月8日
調査手法:インターネット調査
調査対象:全国、女性20〜39歳、男性20〜49歳の既婚者※(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下の既婚者)合計2,961人
※調査対象の既婚者は、調査時点で配偶者がいる人のことを指し、既婚でも「死別」「離別」などで配偶者がいない人は含まない。
自身や配偶者が不妊治療を検討・経験したことがある人 合計838人
調査主体:公益財団法人1more Baby応援団
調査協力:国立社会保障・人口問題研究所 研究員 中村真理子
調査委託先:株式会社電通マクロミルインサイト
※調査データの構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。また、人数の合算が合計と合わない場合がある。

<参考>公益財団法人 1more Baby 応援団『夫婦の出産意識調査2024