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“災害大国ニッポン”に住む私たちがやるべきことは、災害への備えであることは言うまでもないだろう。「首都直下型地震」や「南海トラフ巨大地震」が想定されるなか、今年2024年の元日に起きた「令和6年能登半島地震」の爪痕も深い。地震のみならず、気候変動に伴う豪雨や台風なども私たちの生活を脅かしている。
こうしたなか、農林中央金庫では全国の男女3,500人を対象に『災害への備えと食に関する調査』を実施。災害時の食品を備蓄しているが「十分ではない」との回答は過半数を超え、「備蓄していない」も4割ほどいるという。本記事では、調査結果とともに適切な備蓄方法について紹介したい。
多くの人が不十分。備蓄食料品の実態
まず、各家庭における食料品の備蓄状況を見ていく。前述のとおり「備蓄しているが十分ではない」が半数以上(55.2%)、「備蓄していない」は4割近く(37.4%)を占めており、十分に備蓄している人は7.3%と1割にも満たない状況だ。
年代別で見ると「十分備蓄している」「備蓄しているが十分ではない」を合わせた“備蓄している”の割合は年代により開きがある。60歳以上の68.7%に対して20代は57.8%と10ポイント以上の差があり、若年層になるほど備蓄が不十分であることがわかった。
ではなぜ備蓄していないのか。その理由は「経済的余裕がないから」(28.4%)とする回答がトップに。年代別では、20代が32.8%と最も多い。「何を買ったらいいかわからない」も20代が37.9%と、年代別平均27.3%を上回る。
地震をはじめとする災害が多いことは認識しつつも、備えが不十分である人が多いようだ。
備蓄食料品の賞味(消費)期限切れが課題に
食料品の備蓄が不十分であることが明らかになったが、備蓄していたにも関わらず、災害時に消費できない賞味(消費)期限切れの問題も浮上している。災害への備えが食品ロスを招いてしまうことは避けなければならないだろう。
備蓄食料品の賞味(消費)期限を把握している人は6割弱(57.1%)ほどで、約4割が把握しておらず、期限が過ぎたことが“ある”は6割(64.9%)を超えている。
そこで、食品ロスを防ぐ備蓄方法として推奨されるのが“ローリングストック”だ。この“ローリングストック”を「知っている」のは4割強(42.0%)。「知らない」と回答したのは6割弱(58.0%)で、まだ世の中には十分に浸透していないようだ。
食品ロスを防ぐ“ローリングストック”とは?
“ローリングストック”とは、普段から多めに食料品を備蓄すること。賞味(消費)期限を把握し、期限が過ぎる前に消費、消費した分を買い足すといったように、消費しながらも常に一定量を備蓄する方法だ。災害時に限らず消費することで食品ロスを防げる。
どのような食料品を“ローリングストック”しているかの調査では、レトルト食品が70.2%と最多。以下、缶詰(60.6%)、飲料水(58.7%)、米やパンなどの主食(51.5%)、菓子類(45.3%)、生鮮食品(27.4%)、飲料水以外の飲み物(23.0%)と続く。
備蓄しやすいレトルト食品や缶詰が上位を占めたが、これらは賞味(消費)期限の長さが期限切れを起こしやすい要因の一つと考えられる。そのため、定期的なチェックが必要となる。
家庭内の食品チェックから。“ローリングストック”の4ステップ
それでは、具体的にどのように“ローリングストック”をすべきか。農林水産省が発表したガイドを参考に紹介する。
1.家庭内の食品をチェックする。
まずは、普段どんなものを食べているのかを洗い出すことから始める。
2.家族の人数や好みに応じた備蓄内容と量を決める。
過去の災害を鑑みると、物流のストップやライフラインの復旧までに1週間以上を要するケースがあるため、「最低3日分〜1週間分×人数」の備蓄が望ましいといわれている。
物流が滞りやすい地域などは2週間分など多めに備えることも大切。自治体が発行するハザードマップを確認しておくとよいだろう。
3.足りないものを買い足す。
1、2を確認後、足りないものを買い足しておく。
4.賞味(消費)期限が切れる前に消費する。
期限が切れる前に消費し、消費したものは買い足す。
栄養バランスも考慮し、備品類の確認も忘れずに
エネルギー源となる炭水化物の摂取はとても大切だが、災害時には炭水化物に偏りがちになってしまうという。栄養バランスが崩れると体調不良を引き起こしかねないため、タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維など、栄養バランスも考えて揃えておくことが必要だ。
また、断水や停電時に問題なく消費できるかどうかの確認も必須。熱源となるカセットコンロや洗い物を減らすためのラップ(お皿の上に敷く)、除菌ペーパーなどの備品類も合わせて準備しておくとよいだろう。
“ローリングストック”は、いわゆる非常食だけではなく、普段から食べている食品も備蓄して消費・循環させる方法。日常の一部として取り入れやすいと同時に、食品ロスへの意識も高められる。災害対策も賢くサステナブルに行う時代だ。
参考資料:災害時に備えた食品ストックガイド(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/attach/pdf/guidebook-3.pdf