LIFULL(ライフル)が運営する情報サイト「LIFULL HOME’S PRESS(ライフルホームズプレス)」は、2024年1~3月まとめ版・2024年3月版の「LIFULL HOME’Sマーケットレポート」を公開した。

L2024年1~3月まとめ版・2024年3月版「LIFULL HOME’Sマーケットレポート」公開

(1)東京23区ファミリー向き物件の賃料が1年で3.2万円上昇!シングル向きも初めて10万円を超える

首都圏、近畿圏ともにファミリー向け賃貸物件の掲載平均賃料は上昇傾向にあり、2024年1~3月も同様の傾向が継続。東京23区においては1年間で3.2万円上昇に。

シングル向き物件でも賃料上昇が発生しており、2024年3月には初めて10万円を超え、10万1,232円(前年比108.0%)となった。

東京23区シングル向きは初めて10万円を超える

しかしその上昇幅にはグラデーションが見られるという。

ファミリー向き物件について三大都市圏の各都府県を、前年からの上昇率が高い順(3月基準)に並べると、東京都が最も高く前年比117.0%、次いで埼玉県(同110.8%)、神奈川県(同110.6%)、千葉県(同107.9%)と首都圏の各県が並ぶ。

以下、京都府(105.7%)、愛知県(105.3%)、大阪府(104.3%)と近畿2府・愛知県が続き、いずれも引越しシーズンである2024年1~3月には毎月前月を上回るなど続伸。ただし、兵庫県については前年比100.9%と三大都市圏で唯一顕著な上昇が見られず、2024年1~3月は続落した。

さらにエリア別で見ると、都心部の物件がその上昇を牽引している。

東京都では市部が前年比110.9%なのに対して23区が同117.8%、大阪府(前年比104.3%)では大阪市中心6区が同111.4%、京都府(同105.7%)では京都市中心6区が同113.6%、兵庫県(同100.9%)では神戸市中心3区が同108.1%と、いずれのエリアでも都心がその上昇を牽引。

東京23区ファミリー向き物件の賃料が1年で3.2万円上昇

東京23区の掲載賃料の上昇幅を金額に直すと、前年同月比で+3万1,967円となり、前年3月は前々年比で+1万4,659円だったことから、賃料の上昇はより顕著になっているといえる結果となった。

なお、ここでいう掲載賃料は、新たな入居者を募集する際の募集賃料を指す。

複数の賃貸管理会社によると「再募集時の値上げ幅より、更新時に提示する値上げ幅は小さい」としており、賃貸物件に入居中の人にとっては、更新せず引越そうと新たな物件を探したとき、同じ条件では選択肢に上る物件の賃料水準が現在より高くなるケースも多いとしている。

3月の反響賃料は前年同月比102.6%(+4,303円)とユーザーのニーズは追い付いていないことから、今後も募集賃料のみ上昇が続けば、差し迫った事情がない場合の退去が減り、入居期間が長期化する可能性もあるとのことだ。

(2)福岡市のファミリー向き物件の賃料は前年比120.1%と、東京23区を超える上昇率に

ファミリー向き賃貸物件の掲載平均賃料の動向で注目エリアは福岡市だという。

2023年1~3月頃より掲載賃料は上昇基調で推移し、2024年1~3月にはその上昇幅がさらに拡大。2024年3月の掲載賃料は11万4,031円で前年比120.1%となり、東京23区の上昇率(117.8%)を上回った。

福岡市は2024年3月に発表された公示地価においても、市町村平均が前年比110.7%で政令市中トップの上昇率となったほか、2023年の世代別移動人口では福岡県は単身需要の大きい20~34歳で転出超過となった一方で、ファミリー需要が大きい35歳以上では転入超過に。

ファミリー向き賃貸物件の需要も増加していると同社は考察している。

福岡市のファミリー向き物件の賃料は前年比120.1%と、東京23区を超える上昇率に

(3)首都圏ファミリー向き中古マンション価格は、都心はやや上昇・郊外は下落傾向

首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)ファミリー向き中古マンションの掲載平均価格は、2023年7月以降小幅な下落が続いており、2024年1~3月も同様の傾向が継続。

内訳を見ると、神奈川県・埼玉県・千葉県では1~3月のいずれの月も前年同月比で下落している一方、東京23区は同101~103%台とやや上昇しており、都心と郊外で異なる傾向が見て取れる。

2022年半ばまでは首都圏全体では、新築マンションの価格上昇・供給減少などによる中古物件の需要増加とそれに伴う在庫の減少を背景に、中古マンションの掲載価格の上昇が続いていたが、2022年半ば以降は中古マンションの在庫の増加もあり掲載価格は横ばい傾向となっている。

首都圏ファミリー向き中古マンション価格は、都心はやや上昇・郊外は下落傾向

2024年1~3月も新築マンションの価格上昇こそ続いているものの、中古物件の在庫数は高水準で推移しており、掲載価格の上昇を抑制している一因と考えられるという。

しかし、都心の不動産においては、低金利環境のなかで不動産投資市場が堅調であるほか、長期的には価格が上昇基調にあることから不動産に資産性を求める実需層も。

好立地物件や希少性の高い物件など一般的に資産性が高いと考えられる物件の価格が引き続き上昇し、とりわけそういった物件が多い東京23区の平均価格に影響を与えているものと思われるとのことだ。

<参考>
LIFULL『LIFULL HOME’Sマーケットレポート