オーサムエージェントが運営する運送業専門の求人・転職サービス「ドラピタ」は、契約中企業を対象に「運送業界のドライバー不足に関する企業調査」を実施し、結果を公表した。

運送業界のドライバー不足に関する企業調査

■9割の企業がドライバー不足を実感 採用と定着が課題

まず、ドライバー不足を感じているかという質問に、9割を超える企業が自社のドライバー不足を感じており、また大多数の企業が「採用」「定着」を課題と感じていることがわかった。

課題と感じている「採用」は全体の54.5%を占め、次いで「定着」が34.8%。この結果から、採用の難しさ、さらに仮に採用できたとしても早期離職など、「定着」の難しさを実感している企業が多いことがうかがえる。

【左】ドライバー不足を感じているか【右】ドライバー不足に関して課題と感じること

■ドライバー不足の原因は「賃金」「条件」「若年層の業界離れ」

運送業界のドライバー不足の一番の原因で多かった回答が「賃金」「労働条件」「若年層の業界離れ」が大半を占め、「女性の働きづらさ」も原因と感じていることがわかった。

反対に、勤務時間帯や免許制度の変更、また低運賃・重労働などが原因と感じている割合は少なめ。

この結果から、運送業界の仕事内容や必要免許、また労働内容は理解して入社しても、実際に働いてみて賃金や労働の条件など、入社後のギャップがきっかけで、離職や今後を担う若者が業界から離れてしまうのではないかと同社は考察している。

運送業界のドライバー不足の一番の原因

■業務の逼迫に伴うサービスの質の低下が懸念

ドライバー不足が会社にどのような影響があるかという質問では、最も多い回答は「業務のひっ迫」で86%。次いで「サービスの質の低下」「離職率の上昇」と続いている。

ドライバー不足が会社にどのような影響があるか

■2024年問題、ドライバー不足は影響するのか

社会的にも大きな課題となっている2024年問題も直前だが、この問題に対して、ドライバー不足の影響だと感じている企業は「とても感じている」「やや感じている」を合わせて92.4%と大半を占める結果に。

全く感じていないと回答した数は0で、法改正による影響を感じる企業が多いことがわかった。

2024年問題、ドライバー不足は影響するのか

■ドライバー採用は求人広告を使う企業が9割超え

企業がどのようにドライバーを集めているかでは、「求人広告」が全体の95.5%という結果に。採用を課題としている企業の大多数が求人広告に求人を出しているが、従業員からの紹介も75.8%と多くなている。

どのようにドライバーを集めているか

■年間の採用人数と1人当たりの採用コスト

1名あたりの採用コストはバラツキがあったものの、10~20万円と回答した企業が37.9%、20~30万円が22.7%という結果に。

1名あたりの採用コスト

年間の採用人数は3~5名が37.9%、6~10名が25.8%で、11名以上の採用をしている企業は比較的少ないものの、2割強が該当。また、年間11名以上の採用をしている企業の約8割が保有トラック台数100台以上で、保有トラック台数によっても採用人数に差が出ている結果に。

年間の採用人数

■採用の取り組みは給与の見直しが1位に

採用に関しては様々な取り組みを行っている企業が多く、その中でもやはり給与の見直しをや労働環境の見直しを図っている企業が多くなっている。

そのほかでは、従業員からの紹介に対しての社内制度や6割以上の企業が採用計画・採用予算の見直しを回答。また、SNSなどを活用し求人広告や紹介以外で自社PRを行う企業も全体の2割弱が行っている結果に。

採用に関して取り組んでいること

■定着では定期的な面談を行う企業も半数近く

定着についての取り組みは、給与の見直しを図っている企業が66.7%、労働環境の見直しが60.6%、資格取得支援制度の導入が56.1%と、賃金・制度・環境の見直しを取り組んでいる企業が多く、定期的な面談を取り入れている企業も42.4%となった。

ドライバー採用の取り組み、採用した後の教育・定着について、様々な活動をしている企業が多いものの、ドライバー不足を実感している結果となている。

ドライバー定着についての取り組み

また、ドライバー不足の解決に向けて、どのような取り組みが必要なのかには、以下のような回答も。一部抜粋して紹介。

・運賃の値上げを行い従業員の給与を上げる(関東エリア/食品)
・採用ページの内容は実情に合わせて作成する、内容を盛って作成しない、入社後に思っていた内容と違い不信感を抱くから(関東エリア/精密機器輸送)
・労働環境改善、賃金見直し、運賃見直し、また若年層の免許取得費用が高額のため資格取得支援導入が必要(北海道・東北エリア/建設)
・業界のイメージ払拭・若年層の取り込み強化(関東エリア/自動車部品)
・働き甲斐のある、魅力的な職場環境作り(東海エリア/自動車部品)
・モーダルシフト、外国人労働者の受入れ(北陸・甲信越エリア/バス)

賃金・給与の見直しと回答した企業は最も多く、全体の3割を占めたほか、職場環境の改善や荷主への運賃の理解なども目立つ結果となった。

【調査概要】
調査期間:2023年12月6日~2023年12月13日
調査機関:自社調査
調査対象:求人サービス「ドラピタ」に掲載中企業440社
有効回答数:66社
調査方法:アンケートフォームでのインターネット調査

<参考>
オーサムエージェント『運送業界のドライバー不足に関する企業調査