大阪信用金庫は、第198回景気動向調査、特別調査「2024年問題についての意識調査」を実施し、結果を公表した。

特別調査「2024年問題についての意識調査」を実施

物流の2024年問題は、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限が年960時間に制限されることにより発生する様々な問題。

この問題は、物流を担う運送業だけでなく建築業や医療関係など、全ての事業者に大きな影響を及ぼす問題と考えられるため、今回同社は「2024年問題」についての意識について、アンケートを実施したとのことだ。

■経費増加・収益への影響懸念:「荷主輸送費用高騰」63.6%

2024年問題についての認識は、「荷主輸送費用高騰」が63.6%と最も多く、配達物の到着長期化や従来の輸送が出来なくなるなど配達状況に与える影響以上に、自社の輸送費用上昇から収益への悪影響を懸念していることがわかった。

物価の上昇は穏やかになったが、大手に比較して価格転嫁に依然課題をもつ中小企業では物流コストの上昇による収益への影響を最も警戒しており、特に卸売業と飲食業では、「荷主輸送費用高騰」はそれぞれ78.1%、71.4%と高くなっている。

経費増加・収益への影響懸念

■配送料引上げも止む無し:「配送料値上げ受入」69.6%

荷主の対応や協力については、「配送料の値上げを受け入れる」が69.6%と圧倒的に多くなった。

物価の上昇、価格転嫁、人手不足など多くの経営課題への対応が迫られるなか、中小企業では2024年問題に向けた対応は限られ、配送料の引上げを受入れざるを得ない状況にあると同社は考察している。

荷主の対応や協力について

■自社で出来ることで対応:「緊急度の低い物は急がず」56.5%

2024年問題への対応は、「緊急度の低い物は配送を急がない」が56.5%、「ドライバーの収入を増やせる価格改定の受入」が40.1%と上位を占める結果に。

鉄道輸送などへの代替手段によらず、ある程度の価格改定はやむを得ないと考え、自社で対応できる方法を模索していることがうかがえる。

2024年問題への対応

■重要インフラ存続重視:「重要インフラに代わる手段・方法」46.7%

社会に必要なインフラ(路線バス事業)廃止については、「重要インフラに代わる新たな手段・方法開発」が46.7%、「重要インフラは高くても価格を受入れる」が46.3%、「重要インフラに税金投入して持続させる」が27.0%となった。

重要インフラ存続の必要性を感じる企業は多く、価格改定を受入れるべきと考えている結果に。

近隣住民の顧客ニーズを重視し、地域経済を支えるインフラには、国や行政機関のバックアップも必要不可欠と同社は考察している。

社会に必要なインフラ(路線バス事業)廃止について

<参考>
大阪信用金庫『第198回景気動向調査、特別調査「2024年問題についての意識調査」