日々の暮らしのなかにあるサステナビリティを紹介する特集「サステナブック」。第15回に登場するのは、タレントの井上咲楽さん。「振り返ってみると実家の暮らしがサステナブルなものだった」と語る井上さんが、生ゴミを処理するコンポストを紹介。

【プロフィール】
井上咲楽さん
栃木県出身のタレント。第40回ホリプロタレントスカウトキャラバンにて特別賞を受賞し芸能界デビュー。2022年4月より老舗番組『新婚さんいらっしゃい!』の8代目アシスタントを務めている。

生ゴミの量を減らせるコンポスト

——今回ご紹介いただくサステナブルなアクションについてお聞かせください。

コンポストについてお話しします。コンポストは、家庭から出る生ゴミや枯れ葉などを、微生物の働きによって発酵・分解させて堆肥をつくるもので、実家では庭の畑で生ゴミを処理していました。今は一人暮らしなので家の中で使えるコンポストを探しているところです。

井上家では子どもたちがゴミ出し担当だったのですが、山の上に家があるのでゴミを捨てるには山を下らなければならないのが大変で……。

コンポストは畑の堆肥にできるのはもちろん、何よりゴミの量を減らしてゴミ出しを楽にするための手段でもありました。4人姉妹の6人家族で、けっして余裕のある生活とは言えない状態で、1枚50円のゴミ袋を節約できる生活の知恵でもあったんです。

今思えばサステナブルなアクションなんですが、私の場合、環境のためというよりも自分たちの生活にメリットがあるのでやっていました。

——井上さんのお話から、生ゴミ処理機の助成金制度があることを知ったのですが、知らない方も多いのではないでしょうか?

そうですよね。私も友だちから教えてもらいました。友だちが生ゴミを乾燥させる機械を使っていたので、「高いんじゃない?」と聞いたら「助成金制度があるよ」と教えてくれたんです。自治体によって制度の有無や金額が違うので、ぜひ調べてみてください!

私なりのサステナビリティ

——お料理が好きとお聞きしました。キッチンまわりで実践しているサステナブルなアクションはありますか?

お皿を洗うスポンジが古くなったらシンクの掃除に回したり、各場所に洗剤を用意するのではなく重曹をキッチンや洗面所などいろんなところに使ったり。一つの物で多くをまかなうのは自分らしい取り組みかなと思います。

ゴミの分別に関しては、ゴミ清掃員としても働いている芸人さん、マシンガンズ滝沢さんのX(旧Twitter)が参考になります。自分にとってはゴミでも、それを仕分けしてくれたり、資源として活用できるように処理してくれたりする人たちがいると思うと、きちんと対応しなくちゃいけないな、という気持ちになりますよね。

——物を大切にしている印象があるのですが、普段のお買い物も慎重派ですか?

はい。たとえSDGsに配慮された物だとしても、本当に自分に必要な物なのかを考えてから買うようにしています。だから衝動買いはしないですね。今使っているリュックも3年くらい探して出合った物です。先日も、合羽橋や中華街をめぐってやっと気に入った蒸篭(せいろ)を買いました。

時間をかけて購入した物が必要なくなったとしても、誰かに譲ったりフリマアプリで売ったりして、大切に使ってもらえる人に渡したいです。

——SDGs関連のお仕事をするなかで、気になった課題はありますか?

“ミッシングプラスチック(行方不明プラスチック)”はご存知ですか?

MCを務めている『サイエンスZERO』という番組で知ったのですが、海に浮かぶプラスチックはわずか1%で、流出したプラスチックの99%は、ダイバーでも辿り着けない海底に沈んでいるといわれています。人間の手が届かない場所によく見かけるプラスチック製品が漂う映像は衝撃的でした。

海の生態系に影響を及ぼすので、やはりプラスチックゴミはじめとした、海に流れ出るゴミは減らさないといけないなと思います。

——今後、私たちはサステナビリティとどのように向き合うべきだと思いますか?

普段エコバッグを持ち歩いていますが、どうしてもコンビニの袋が欲しい場面もあります。以前SDGsのキャンペーン大使を務めていた際に、「井上咲楽がコンビニの袋をもらってた!」なんてSNSに書き込まれたらどうしようって、監視の目が怖い時もありました。生きづらい世の中になってほしくはないので、人間の“持続可能性”を考えると、“無理をしないこと”も選択肢の一つだと思います。

そして、人間が行動を起こすのはメリットがあるかどうかだと思うので、実家でやっていたコンポストのように、自分にメリットがあるものは続けてみる。マシンガンズ滝沢さんの発信で気づいたように、自分のその先にいる人のことを考えられると、行動は変わっていくのかなと思います。