- 本コラムは、企業・団体などから寄稿された記事となります。掲載している取組みやサービスの内容・品質、企業・団体などをAMPが推奨・保証するものではありません。
各企業・一人ひとりのパートナーシップ構築の加速をサポートするため、サステナブル推進企業の取り組み事例をコラム形式で提供。
今回UR都市機構の取り組みを紹介する。
UR都市機構の取り組み
ここでは、サステナブルな社会の実現に向けた事業内容について
▼アプローチ視点
▼実施内容
▼推進体制
の3つの視点を一覧形式で紹介する。
アプローチ視点 | 前身である日本住宅公団の発足時から培ってきたノウハウを活かし、環境及び都市景観に配慮しながら、都市再生・賃貸住宅・災害復興の事業を通して、社会課題の解決を目指します。 |
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実施内容 | URの地球温暖化対策の計画を事業ごとに策定し、環境配慮に関する取り組みを行っています。取り組み内容は毎年度環境報告書としてまとめ、社外へ発信しています。 |
推進体制 | 2004年度に設立した「都市環境企画室」の体制をより全社的かつ経営的視点を反映しつつ、脱炭素に向けた計画の策定・実施を行えるよう見直し、2022年度に「脱炭素・環境配慮推進室」として拡大・強化しました。各部門を横断した総勢50名のメンバーで構成されています。 |
取り組み実施に至った背景
URは日本住宅公団の時代から豊かな屋外空間整備に努め、環境に配慮した事業を実施してきましたが、本格的に環境配慮に関する方針を打ち出し、取り組み始めたのは18年前の2005年度です。
2004年に公布された「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(環境配慮促進法)」をきっかけに2005年度、URの環境に関する考え方の土台となる「環境配慮方針」を独自に策定しました。環境配慮方針では「環境にやさしいまちや住まいをつくります」というまち・住まいづくりの視点と、「環境に配慮して事業を進めます」という事業推進の視点に分けてまとめています。
その後、2008年度よりUR独自の地球温暖化対策実行計画として「UR-eco Plan」を策定し、各事業の目標や具体的な行動計画を定め、CO2の排出を抑えた環境に配慮した事業の実施に努めています。
UR-eco Planは2008年度からおおむね5年ごとに作成・公表しており、現行のUR-eco Plan 2019では、URの事務所やUR賃貸住宅の共用部から排出されるCO2(スコープ1・2からのCO2排出量)を2013年度を基準として、2030年度までに45%削減するという数値目標を立てています。この目標は、2020年の政府によるカーボンニュートラル宣言等、時代の流れを踏まえて見直しを行い、2024年度にはより高い値への更新を予定しています。合わせて、工事やUR賃貸住宅の専用部等から排出されるCO2(スコープ3からのCO2排出量)についても、各事業分野における具体的な行動計画を更新し、削減に向けて対応していきます。
実施している取り組み
URが実施する各事業では、CO2排出量の削減、CO2吸収源の増加を図る「緩和策」、気候変動による悪影響にあらかじめ備える「適応策」の両面から対応を進めています。
「緩和策」としては、URのオフィス・団地共用部におけるLED化や、樹木の植樹、既存樹木の保全・活用等を行っています。UR賃貸住宅内にある樹木の年間CO2吸収量を算出したところ、3,300t-CO2を吸収していることがわかりました。この吸収量は年間約2,600 人が排出するCO2量に相当します。
「適応策」としては、災害に強い安全・安心なまちづくりを進めており、防災公園の整備などを行っています。防災公園は、平常時と災害時のフェーズフリーな利用を目指し、災害時の避難場所や防災拠点となるだけでなく、平常時も地域の方々に親しんでいただけるように様々な工夫をしています。
千葉市蘇我スポーツ公園は、大規模な工場跡地を有効利用し2022年3月に完成した防災公園(約46ha)です。環境への配慮と千葉市が作成した整備基本方針に基づいて植栽の設計を行い、強風や潮風に対応する「外周部の緑」や、公園の利用者が憩いや楽しさを感じられる「内部の緑」といった豊かな緑を創造し、大気汚染やヒートアイランド現象の緩和に貢献しています。
園内の舗装は原則として全て透水性舗装としました。そして円形野球場の天然芝部分には、公園内の球技場の芝生張替えにより撤去された芝を粉砕し再利用することで、資源のリサイクルをしています。
また、フェーズフリーな公園利用を実現するため時代のニーズに合わせた多様な施設を整備しています。災害時には耐震貯水槽や非常用トイレなどの防災施設の活用に加え、警察・消防・自衛隊の駐屯地や現地対策本部等となる「広域防災拠点」として機能します。平常時は、サッカーや野球、パークゴルフ・スケートボード・BMX等のニュースポーツに対応したスポーツ振興の拠点として地域の方だけでなく、スポーツ観戦者や大会出場者、イベント参加者など全国から多くの方が訪れています。
このような環境配慮の活動について様々なステークホルダーの皆様に知ってもらうべく、毎年、環境報告書を作成・公表し、URの環境に対する姿勢やESG(環境・社会・企業統治)の視点から具体的な取り組みをまとめ、情報発信しています。環境報告書はより多くの方に手に取っていただくために、ダイジェスト版も作成しています。
また、2023年9月15日(金)にURの新たな情報発信施設として、東京都北区の赤羽台に「URまちとくらしのミュージアム」を開館しました。今後は本ミュージアムも活用し、情報発信に取り組んでいきます。
さらに、環境配慮の取り組みを推進するためには、社外への情報発信だけでなく、職員の環境意識を高めることが重要です。社内に向けて、URの取り組み事例や基礎知識を共有するだけでなく、有識者を招いて環境に関する最新技術や社会動向を伝えることで、環境配慮の重要性や必要性を実感し、日頃の業務に環境意識を取り入れてもらうことを狙っています。
どのような体制でSDGs推進に向け、取り組んでいるか
環境への意識が世の中でまだ高まっていない2004年度に「都市環境企画室」を立ち上げ、環境に関する検討を進めてきました。その後、2022年度に理事長をトップとした審議機関である「脱炭素・環境配慮推進委員会」を設置。その実務検討機関である「脱炭素・環境配慮推進室」として機能を拡大・強化しました。「脱炭素・環境配慮推進室」はURの各事業部門を横断したメンバー総勢50名の組織で、全社で脱炭素に向けた取り組みを推進しています。
今後の目標や展望
今後、カーボンニュートラルに向けて社会も大きく動いていきます。URでは環境に配慮し、社会・時代のニーズを適時把握しながら、皆様の暮らしやすいまち・住まいづくりを実施していきたいと思います。
持続可能なまちづくりに向けた新しい取り組みをUR賃貸住宅に内包させるには、様々な企業との連携強化が必要です。URでは、民間企業との連携を進めるためのプラットフォームを設立しています。プラットフォームを通して各種ノウハウを持つ民間企業と適切な役割分担を図りつつ連携することで、社会課題の解決やSDGsの実現のための協業を一層進めたいと考えています。
- 辻 千晃
- UR都市機構 脱炭素・環境配慮推進室
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2020年 UR都市機構入社
2020年~2022年 東日本都市再生本部にて区画整理事業の計画推進を担当
2022年~ 現部署にてURの地球温暖化対策計画の策定、環境に関する社内外広報に尽力
- ▼お問い合わせ先
- ●企業名:独立行政法人都市再生機構
- ●URL:URの環境への取り組み→https://www.ur-net.go.jp/aboutus/action/kankyo/index.html