JX通信社は、関東大震災から100年の節目となる9月1日の「防災の日」に先立ち、市民の防災意識を探る全国規模の調査を実施し、その結果を公表した。

同調査は、災害時の情報収集や備えに関する市民の意識や行動を詳細に把握するために行われたもので、都市部と地方の間での違いや、世代間での情報収集の方法など、多岐にわたる結果が明らかになったとのことだ。

■都市部と地方で防災意識に大きな差。食料備蓄に関する質問では2倍近い差も

調査では、「家族の安否確認の方法を決めていますか」「避難経路や避難場所を確認していますか」など、地震災害への備えに関して8つの質問を実施。

回答を東京23区、政令指定都市、その他の市、町村の4つの区分に分けて分析したところ、8つの質問全てで東京23区や政令指定都市に住む人は、それ以外の地域に住む人よりも、災害への備えをしている人の割合が高くなった。JX通信社は、人口規模の大きい都市部の方が、地方よりも地震災害に対して備える意識が強いことが伺えるとしている。

災害への備えを聞く8つの質問、全てで「都市部>地方」の結果に

特に、食料の備蓄に関する質問では、東京23区の住民の60%以上が3日分以上の食料を備蓄していると回答し、町村の住民に比べて28ポイント以上高い結果となった。

「3日分以上の食料・飲料を備蓄している」と答えた人の割合

近年、地方における自治体の災害対策では、人口減少といった課題から「公助」のみならず、自分の身を自分で守る「自助」や地域で助け合う「共助」がより重視されているという。今回の調査では、特に地方において、「自助」「共助」の主体である住民の防災意識の向上が急務であるという課題が浮き彫りになったとのことだ。

■SNSやネットは高齢者の間でも「災害時の情報源」として定着

また、災害時の情報収集に活用したい情報源についても質問したところ、20代から40代では「SNSやインターネット」が、「テレビ」や「ラジオ」などの従来の情報源を上回る結果に。この傾向は高齢層にも見られ、60代では約7割、70代以上でも約6割が、災害時の情報源としてSNSやインターネットを挙げた。

東日本大震災や熊本地震を経て、SNSやインターネットがテレビやラジオと並ぶ災害時の重要な情報源として認知されていることや、その認知が60代以上の高齢者層にも広がっていることが明らかとなった。

災害時の情報源、高齢層も約6〜7割がSNS・ネットを活用

JX通信社では、SNS等のビッグデータから災害・事故・事件などのリスク情報を収集し、国内の大半の報道機関や政府・自治体、企業に提供するAIサービス「FASTALERT」(ファストアラート)を開発、運営している。同時に、地域住民が目撃した災害などのリスク情報を自ら投稿し、行政や他の地域住民とも共有できる、市民参加型の無料ニュース速報アプリ「NewsDigest」も展開。

これらの組み合わせにより、行政にAIで効率的な災害情報の収集手段を提供するだけでなく、地域住民に無料アプリを通じて自助、共助を促す防災DXのしくみを構築し、全国の自治体と連携協定を結んで運用しているとのことだ。

【調査概要】
期間:2023年8月17日〜18日
対象:日本国内の20歳以上の男女3,334人
調査方法:大手リサーチ会社のモニターを対象にインターネットで実施。世代差を分析するため、20代から70代以上まで均等に回答を回収。

<参考>
JX通信社『防災意識に関する全国調査