総合人材サービスのパーソルグループのミイダスは、朝日新聞社と「はたらく人ファーストアワード」を8月2日より共催している。

すべての企業において、より「はたらく人ファースト」なはたらき方を推進していくことを目的としている同アワードの開催にあわせて、「はたらきがいと従来のエンゲージメントサーベイ(※)に関する調査」を実施し、その結果を公表した。

■4人に1人が「はたらきがい」を感じていない

7割以上が今の仕事に「はたらきがい」を感じている一方、4人に1人(25.5%)が「はたらきがい」を感じていないと回答。

今の仕事に「はたらきがい」を感じているかどうか

その理由として、「自分の成果が適切に評価されていると思わないから」が34.8%、「自分の給与が業務内容に対して適切だと思わないから」が32.2%、「会社が従業員を大切にしていると思わないから」が27.8%と続いた。多くの人が「はたらきがい」を感じている中で、自身の評価についてと会社の姿勢への声もあがった。

今の仕事に「はたらきがい」を感じていない理由(複数回答)

■コロナ禍以降、8割以上が『「はたらきがい」が多様化していると思う』と回答

コロナ禍以降、「はたらきがいが多様化している」と回答した人は81.1%に上った。

コロナ禍以降、「はたらきがい」が多様化しているかどうか

コロナ禍以前「はたらきがい」を感じる上で大切だと思っていたことは「自分の能力や適性を活かせていること」が26.9%、「自分の給与が業務内容に対して適切であること」が26.4%、「自分の成果が適切に反映されていること」が24.7%、「自分が成長できていること」が24.2%など、評価・成果主義志向が目立った。

コロナ禍以前、「はたらきがい」を感じる上で大切だと思っていたこと(複数回答)

コロナ禍以降「はたらきがい」を感じる上で優先度があがったことでは、「リモートワークなど自分にあった「はたらき方」を選択できること」が21.1%と最多となった。

コロナ禍を経て「はたらきがい」は評価・成果主義志向に加え、ライフスタイル調和の傾向も見られるようになり、より多様化が進んでいると伺えるとしている。

コロナ禍以降、「はたらきがい」を感じる上で優先度が上がったこと(複数回答)

■約9割が、『今後「はたらきがい」の多様化を促進するべき』と回答

また、約9割が今後「はたらきがい」の多様化を促進すべきだと回答。

今後「はたらきがい」の多様化を促進するべきかどうか

その理由として「一人ひとりがはたらきやすくなると思うから」が54.4%、「様々な人に、はたらく機会が与えられると思うから」が51.1%、「意欲化・効率化につながると思うから」が46.8%と続いた。

今後「はたらきがい」の多様化を促進するべきだと思う理由

■従来のサーベイでは「主観」と「客観」が混在した回答になっていることが明らかに

従来の会社の組織サーベイやエンゲージメントサーベイでは、「自分の意見だけ伝えるようにしている(37.3%)」という人と、「聞いたことがある他の人の意見も伝えるようにしている(46.9%)」という人がおり、自分の意見だけを伝える「主観」と、他の人の意見も伝える「客観」が混在した回答になっていることが判明。

会社の組織サーベイやエンゲージメントサーベイではどのような意識で回答しているか

また、7割以上の人が、質問を「主観」と「客観」に分けて聞かれた場合は「自分の回答が変わると思う」と回答。

会社の組織サーベイやエンゲージメントサーベイで「他の社員にとってどうか」という質問が加わった際、自分の回答も変わると思うか

■従来のサーベイでは3分の1以上が従業員から課題の必要度を聞いていないことが判明

さらに、33.1%が各質問(課題)に関する従業員からの必要度を聞いていないことが分かった。

必要度を聞いていないことの影響は「課題の優先度がわからない」が36.9%、「従業員のはたらきがいや価値観を正確に把握できない」が36.0%となり、課題の優先付けや従業員のニーズの把握が難しいことが考えられるとのことだ。

会社の組織サーベイやエンゲージメントサーベイでは各質問に対する従業員からの必要度を聞いていたか

■組織にとって重要だと思うこと、経営者層と一般社員で各項目14ポイント以上の差

組織観に関する項目について重要度を聞いたところ、「とても重要だと思う」という回答について、経営者層は数値が高く、一般社員は数値が低いという結果に。その差は各項目で14ポイント以上あり、役職間で大きなギャップが現れた。

特に「会社の理念・ビジョンへ共感できること」という項目では、経営者層52.7%・一般社員21.3%と、31.4 ポイント差が開いた。

各項目は組織にとって重要だと思うかどうか

■中間管理職の4割が『「はたらきがい」の多様化をとても促進すべきだと思う』。一方サーベイでは「多少忖度している」

はたらきがいの多様化について「とても促進すべきだと思う」と答えた層を役職別に見ると、中間管理職が最も多く 40.7%(経営者層 36.7%、一般社員 21.3%)となった。

一方で、組織サーベイやエンゲージメントサーベイで自分の意見を伝えられていない理由として、中間管理職は「多少忖度をしているため(45.0%)」という回答が他層(経営者層 23.5%、一般社員 20.7%)に比べ多い結果に。

はたらきがいの多様化を強く望んでいる層は特に中間管理職と考えられるが、一方で「多少忖度をしているため」自分の意見が伝えにくいという傾向も見られた。

今後「はたらきがい」の多様化を促進するべきかどうか(役職別)

※ サーベイ/組織サーベイ/エンゲージメントサーベイ:企業が組織の現状を可視化するために実施する社内調査のこと。報酬・福利厚生・労働環境・人間関係などの従業員満足度や、会社の理念・ビジョンへの共感、目標・戦略の理解、組織への貢献意欲などを回答するアンケート調査。

【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年6月26日〜6月29日
調査対象:全国の20歳〜59歳 男女450名(経営者150名、取締役会長・代表取締役・取締役・執行役員・中間管理職150名、部長・課長・一般社員150名)
調査機関 : ネオマーケティング

<参考>
ミイダス『はたらきがいと従来のエンゲージメントサーベイに関する調査