日本政府及び国際協力機構(JICA)は、エチオピアのアムハラ州とティグライ州で紛争の影響を受けた地域において、質の高い教育機会や水と衛生サービスを提供することを通じて子どもたちの生活を改善することを目指し、国連児童基金(UNICEF)に10億7,200万円の無償資金協力を行うことを発表した。
伊藤恭子駐エチオピア特命全権大使は、今回の無償資金協力にあたり以下のように述べた。
「日本はエチオピアを含むアフリカにおいて、『人への投資』に力を入れています。本事業は、学習と能力開発のためのより良い環境を整備することで、特にこの国の未来を担う子どもたちへの投資に貢献します。本資金協力は、子どもたちの生活の質、健康、ウェルビーイングを向上させるために必要不可欠な、学校における水と衛生サービスの復旧に重点を置いています。」
エチオピア北部における紛争で、アムハラ州の4,600校以上とティグライ州の2,000校近くの学校の全壊または部分的な損壊が報告されており、紛争の影響を受けた70万人以上の子どもたち(うち半数は女の子)が学校に通えていないという。
今回の資金協力は、JICAとの協力のもと、アムハラ州とティグライ州における被害を受けた学校の修復と再建を通じた子どもたちへの支援の拡大と、障がいのある人々にも配慮した水と衛生設備の整備が目的となっている。
UNICEFは、学校建設に革新的で耐久性のある技術を用いて、現地における持続可能な解決策をもたらすとし、さらに給水システムやトイレを建設して、衛生を促進するためのコミュニティ内の対話を行うとのことだ。
なお、UNICEFエチオピア事務所代表のアブバカル・カンポ氏は次のようにコメントした。
「この度の日本政府の寛大なご支援に、心より感謝申し上げます。子どもたちは、いかなる紛争においても最もぜい弱な立場にある被害者であり、サービスの欠如により、しばしば学校からの退学を余儀なくされます。学校での教育の再開と水と衛生設備の復旧は、子どもたちが生き延び、成長し、最大限の可能性を発揮するための後押しになります。」
同資金協力により、両地域において、136の教室の建設を通じて1万2,000人の生徒が恩恵を受け、約4万7,700人のコミュニティの人々が、34基のトイレを含む水と衛生施設にアクセスできるようになるとのことだ。