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プロフェッショナルバンクは、上場企業の女性社外役員の属性や志向性をデータベース化した「女性社外役DB」をもとに、女性社外役員の選任動向・傾向の分析を行い、結果を公表した。
■女性社外役員は約1年で447人増加、昨対比で1.3倍に。女性社外役員を採用している企業は48%から57%へ約1割増加
政府はプライム市場上場企業の女性役員比率を2030年までに30%以上とする目標や2025年をめどに女性役員を少なくとも1人採用するよう促す目標を設ける調整に入り、プライム市場上場企業を中心に、女性役員を採用する動きが加速している。
一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の上場企業における女性社外役員は、2022年5月末時点は1,608人だったのに比べ、2023年4月末時点では2,055人と447人増加し、約1.3倍に伸長。
また、女性社外役員を採用している企業の割合は48%から57%となり、約1割増加している。
また、2023年4月末時点では、東証プライム市場で女性社外役員が就任している企業は76%と8割に迫っていた。
同社はこの背景として、コーポレート・ガバナンスコード(企業統治指針)の改訂に伴い、社外取締役の独立性と人数比が改定されたこと、政府や経団連が女性採用を推進していること、そして機関投資家がESG投資において女性の活躍推進を重視する企業に投資する傾向があることなどが挙げられるとしている。
■年齢のボリュームゾーンは50代、女性社外役員の年代は経験によって幅広い層が就任
2023年4月末時点での女性社外役員の年代は50代が36.4%と最も多く、次いで60代が30.8%という結果に。
傾向として、経営戦略上ピンポイントでの経験・知見が求められるケースにおいては、年代に囚われず20代30代などが就任されるケースも多くみられるという。
また、企業経営経験を重視する企業が増加傾向であることから、企業経営経験が多い50~60代は引き続き奪い合いが激化することが予想されるとのことだ。
■事業会社・法律家が約半数を占める一方で、研究経験者も約1割存在
2023年4月末時点での女性社外役員の経験業界は、事業会社経験者が約3割、次いで弁護士・法律事務所経験者が2割という結果となった。
一方で、企業経験者だけでなく、大学・研究所経験者も8.5%にのぼっている。経営や法律の専門家以外に、自社の事業分野に精通する専門家を選任することで、事業拡大を推進する姿勢も見られるとのことだ。
■約3割が複数の企業で社外役員を兼任している
2023年4月末時点では、複数の企業で社外役員を兼任している役員は約3割にのぼっている。2022年5月末時点での最多の兼任社数は4社で、2023年4月末時点では5社となった。
一方で、兼任社数が多い社外役員を選定している企業は、株主から指摘を受ける事例も出てきているという。
その影響と、女性役員の選定増加の背景から、初めて社外役員に就任する女性が増え、就任先が1社である割合は、約1年で5割から7割に増加。
また、複数社兼任の中でも3社以上を兼任する人を選定している企業は、今後改選の議論が進むものと思われるとのことだ。
<参考>
プロフェッショナルバンク『女性社外役員の選任動向・傾向の分析』