宮本卯之助商店は、江戸東京の伝統に根差した技術や産品などを新しい視点から磨き上げ、世界へと発信していく「江戸東京きらりプロジェクト」の採択事業として2022年3月に「森をつくる太鼓プロジェクト」を始動し、間伐材を活用した太鼓を制作・販売、その太鼓の音色を体感する「はじまりの森」イベントを実施。

今回は新たに、約160年の歴史の中で初めてリプロダクトに挑戦した「The Curve」シリーズを発表。

これまで課題視されてきた製造規格に達しない太鼓の胴(不要胴)を活用し、あらゆる製品を製造するという。1月にはフランスのプロダクトデザイナーピエール・シャリエ氏と共同製作したスツールを発表するとのことだ。

宮本卯之助商店について同プロジェクトは、森をつくる太鼓プロジェクトの一環として、太鼓制作の過程で見つかる割れや、修復不可能なフシや虫食いのために太鼓になれなかった太鼓の胴(=不要胴)のリプロダクトをコンセプトとした取組。

太鼓から始まり、祭りや芸能で使われる楽器や道具を作り続けて160年、現代生活における消費サイクルと商品のライフサイクルのズレによる文化継承への影響とその持続可能性を考える宮本卯之助商店が、自然と人を繋ぐサステナブルなものづくりで、アートと環境を豊かにする循環型社会を提案するという。

「The Curve」シリーズの特徴

1.160年以上と太鼓とその文化継承に向き合う宮本卯之助商店が希少なケヤキ素材など、規格に合わず廃棄される太鼓の胴をリプロダクトする

太鼓は最低でも80年以上かけて成長した1つの大きな幹を削り出し制作するが、その過程で見つかる割れや修復不可能なフシ、虫食いなどのために太鼓になれなかった太鼓の胴(=不要胴)が、過去50 年を振り返ってみても、そういうものが積み上げられてきたことがわかるという。

最近では時代とともに技術が進歩しロスを削減できているが、それでも削り出しの制作過程で一定程度は見つかることから、他の商品に転用することは難しい材料。

これまで太鼓を筆頭に、日本の伝統技術を牽引し、文化継承の危機に直面する宮本卯之助商店だからこそ、希少なケヤキなどの素材を無駄にせず、新たな役割を与えることで、「森をつくる太鼓」同様に自然と共生してきた日本文化現代生活にフィットした形で活かせるのではないかと考えたとのことだ。

2.太鼓職人の手かんな技術によって生み出す太鼓特有のやわらかな曲線

太鼓になれるまで丈夫に成長した材料は、割れやフシ、虫食いなど、それぞれの個性を持ちながらも、そのやわらかな曲線が魅力。それを160年以上受け継がれてきた職人の知恵と手かんなの技術で磨き上げることで、不要胴は目的に合わせた機能と、曲線を生かした美しい造形を兼ね備えた商品として生まれ変わるという。

最近では継承が難しくなった手かんなの技術で仕上げると、とってもなめらかで、撥水性が優れるとのことだ。この二つとない曲線と機能を存分に楽しむことができることも「The Curve」シリーズの特徴であるとしている。

3.新しい形で生まれる日本の伝統工芸との関わり

生活様式の変化から消費の時間サイクルが短くなり、技術や文化をこれまで通り育てていくことが難しくなった現代では、日常的に日本の伝統工芸に触れる機会も少なくなったという。

「The Curve」シリーズは、スツールをはじめとする家具や置き物など、太鼓とは異なる形で生まれ変わることで、これまでとが異なる関わりを作ることができる選択肢をつくったという。

プロダクトデザイナーピエール・シャリエ氏との共同製作

「The Curve」プロジェクトの第一弾として、東京都とパリ市との連携事業として、パリ市「Bureau du Design, de la Mode et des Métiers d’Art(BDMMA)」所属のフランスのプロダクトデザイナー、ピエール・シャリエさんとの共同制作を実施。

座面に最大の特徴である不要胴の極めて自然な曲線を生かし、どこから座っても心地良い丸みを感じる設計になっており、座ると包まれるような安心感と、木本来の力強さを感じることができるとのことだ。

プロダクト概要
●  商品名:Re-Taiko Stool No.10
           Re-Taiko Stool No.2
●  単価:88,000円
●  購入方法:公式サイトから問い合わせ
●  公式サイト:https://www.miyamoto-unosuke.co.jp/